かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

誕生

 先日、待望の我が子が生まれた。

 元気な男の子。

 もう可愛くて可愛くて仕方ない。

 というわけで、誕生の前後の記録をここに簡易的に記しておこうと思う。

 忘れないようにね。

 彼女の陣痛が始まったっぽいってなったのが22日。

 前駆陣痛は数日前からあったからいつ本格化するかなって思ってたらついにやってきた。

 僕はあわあわしながら、落ち着け落ち着けと念じ、仕事から帰宅した。

 陣痛間隔はすでに10分を切っていて、病院への連絡基準を満たしていたので彼女に連絡してもらう。

 結果、陣痛間隔が5分を切ってきたらもう一度連絡をとのことだったので、その間に食事とお風呂を済ませることにした。

 作ってる余裕もなかったので急いでコンビニへ行って適当にいくつか買って帰り、もしゃもしゃ食べている間に陣痛間隔が短くなってきた。

 この間も僕はテンパらないように落ち着け落ち着けと念じていた。

 連絡する前にお風呂だけは入っておきたいってことで、ささっと入浴し病院へ連絡。

 やっと病院へ行けるようになったので、準備して出発。このときはまだ、家に帰されるかもね~って感じで割と気楽に出かけた。

 病院へ行くと早速診察。僕は待合スペース的なところでぼーっと待ってた。

 大体20時頃だったかな、診察時間は終わってるし、人がぜんぜんいないのでとっても静か。

 しばらくすると彼女と助産師さんが戻ってきて、まだ出産というイベントが始まったばかり!みたいな状態とのこと。入院もできるし一度帰ることもできるそうな。

 それを聞いたら、入院一択だよなって思った。彼女が帰りたいって言ったら別だけど、入院したほうが安心だよなあって。

 じゃあそうしようってことで、すでに用意されてた個室に通されて彼女はお腹に赤ちゃんの心拍数と陣痛の数値を図る機械を付けられた。この流れはとってもスムーズだったと記憶している。

  陣痛レベルが5になったら呼んでくださいという、初心者が判断できるのか分からない基準を残し、助産師さんは去っていった。

 陣痛にレベルがあるとするとこの時点では1。10段階らしく、それを聞いて彼女が絶望したのはもちろん、僕は僕でレベル10になったら彼女はどうなってしまうのだろうってめちゃくちゃ不安になった。真剣にスマホで「陣痛 死ぬ」って調べたよね。

 陣痛の痛みで失神くらいならあったけど、死んだってのは出てこなかったので一安心。

 ここから長い戦いが始まった(僕基準)

 とりあえず彼女のお母さんとお姉さんと僕の母に状況を連絡して、陣痛のレベルが上がるのをひたすら待つ。

 助産師さんは、部屋が狭いしソファが小さいので旦那さんは一旦帰ってもらって、また進んだら来ていただくでもいいですよ~って言ってたけど、苦しそうな彼女を置いて帰るという選択をする気は全くなかった。

 彼女にしてあげられることがただでさえめちゃくちゃ少ないのに、帰ってしまったらなーんにもできない。一緒にいたら声をかけたり背中をさすったり、陣痛の間隔記録したりしてあげられる。

 少しでも助けになりたかった。

 日付が変わってもあまり変化はなく、持久戦の様相を呈してきた。

 徐々に眠気が増し、まだきっと動きもないだろうという根拠のない予測をした僕は仮眠を取ることにした。

 なかなか眠れんな~って思ってたらいつの間にか寝てた。寝付き◎。

 のんびり寝ている僕だったが、彼女の苦しそうな声で目を覚ました。

 時間はだいたい4時すぎたくらいだったような。

 明らかに僕が寝てしまう前よりつらそうで、これは陣痛が進んだと見ていいのだろうなと思った。でもまだレベルで言えば3くらいかなあって思ってた。何度も言うけど基準がわからんのよ。

 1と10を知ってれば5がこれくらいってなんとなく分かるかもしれないけど、知らんのだもん。

 それからまたしばらく、つらそうな彼女の背中をさすりながら、どのタイミングで助産師さんを呼ぶべきかについて相談してた。

 ここ僕の記憶が定かじゃないんだけど、多分6時になったときに助産師さんが様子を見に来てくれた。それか僕らが呼んだかなんだけど、たしか呼んでないんじゃなかったかなあ。

 で、どれくらい進んだかチェックしてくれたんだけど、どうやらレベル5は超えてたっぽいんだよね。

 すごい進みましたね!頑張りましたね!もうちょっとだよ!って言ってくれて、いよいよ本格的に生まれるのか!?って身構えた。

 それでもレベルが8にならないと分娩フェーズには移れないらしくって、今よりも更に1段階痛くなったら呼んでくださいって言われた。

 彼女は痛みの大きさがいまいち分からないらしくって、痛いのは痛いんだけど、さっきより痛いかとか、どのくらい痛さが増したかの判断が難しいようだった。

 そこで、旦那さんが見て、奥さんの声が明らかに大きくなったら呼んでくださいというミッションを与えられることになってしまった。

 急に僕のさじ加減に任されることになって不安が溢れてきたけど、覚悟を決めた。もうこの状況、僕がやるしかないって。

 この助産師さんが来てから、体感では10分くらいの戦いだったんだけど、実際は40分くらいかな。彼女の声が明らかに大きくなって、痛がり方もひどくなった。おや、これはきたか!?って思って、一度落ち着いて様子を見て、2回目の波がきた瞬間にナースコール。

 僕としては最高のタイミングで呼んだんだけど、実際は助産師さんが確認するともう頭が出てこようとしている状態だった。最初のタイミングで呼べばよかった。

 急いで助産師さんが車椅子を用意してくれて、だだーっと分娩室へ移動。移動中にどうやら破水。

 分娩台によいしょー!って載せられる彼女を見てたら、赤ちゃんの後頭部が見えた。

 うわあああ産まれてきてるううって感動。

 ぐる~って頭が回転して顔が見えて、かおだああああって感動。

 彼女に、うまれたよ!!ちゃんとうまれたよ!げんきだよって言って、泣きそうになった。

 産まれそうってなってから実際に産まれるまでが早すぎて、助産師さんもバタバタ。

 僕のナースコールが遅かったせいかな?って思って反省したけど、どうやらめちゃくちゃすんなり出てきたから早かっただけで、遅すぎたってことはないみたいだった。

 もちろん彼女の方になにか問題があったわけでもなく、ただただ安産だった模様。

 確かになんの引っ掛かりもなく、とぅるんって感じで出てきてた。

 僕のイメージだと、分娩室に行ってからさらなる戦いが待っていて、頭が出てきたよー!もう少しだー!頑張ってー!だめだ!うまくでてこない!頭がひっかかってる!!みたいな感じだと思ってた。

 実際そういう人も多いはずだけど、彼女の場合は本当にあっという間だったので、分娩室での大変な思いをしなくて済んでよかった。

 僕の主観で言えば、彼女のお産が上手だったのもあると思うんだよね。助産師さんが言ってることをちゃんと実行できてて、いきみずぎずに、痛みと戦って上手にやってた。えらかった。

 産まれたばっかりの子を彼女が抱っこして記念撮影して、その後僕はまた待合スペース的なところに行って待っていてくださいと指示をうけ、ぼーっと待機。

 その間彼女は傷口の縫合を受けてたそうな。すぽーんって産まれたから傷が広い範囲にできてしまっていたんだと。縫われるのも怖いよねえ。

 それも一段落ついたらまた分娩室に呼ばれて、休憩中の彼女とお話して、朝食を食べさせてあげてってした。

 ふたりとも感動と興奮と疲れが入り混じってた。

 僕はとにかく彼女に頑張ってくれてありがとうってずっと思ってた。

 こんな大変な思いをして、元気な子を産んでくれてありがとうって。

 出産もそうだけど、妊娠がわかったときからずっと頑張ってくれてた。

 体調を崩していたときもあったし、少し元気になって仕事をしてくれてたときもあった。僕のお弁当を朝早起きして毎日作ってくれてたし、家事も頑張ってやってくれてた。

 体が変化していくことも、体調が悪くなることも、すべてのことが初めてで、不安や心配がものすごくたくさんあったと思う。

 責任とかプレッシャーもあったと思う。

 それをすべて乗り越えて、無事出産できて、お腹の中の赤ちゃんも頑張ったと思うけど、やっぱり彼女が一番頑張ってくれて、一番大変だったはずだ。

 だから本当に感謝してる。

 そしてよく頑張った!って思う。

 分娩室での休憩を終えて部屋に戻るので、先に旦那さんはお部屋へ行っててくださいと促され、彼女が来るのを待ってたけど全然来ない。

 まだかな~って思ってたら助産師さんが来て「ちょっと気分が悪くなっちゃったみたいなのでもう一度分娩室行ってください」と言うじゃないか。

 軽い感じで言ってるけど、軽いんだったら別に普通に部屋に来るよなあって思って、もっとなんか酷いことになってんじゃないのかと不安になって足早に分娩室へ向かった。

 すると彼女は分娩台で横になってて、寝起きみたいなふわふわした顔してた。

 朦朧としてるっていうのかなあの状態は。

 あとで彼女から聞いたけど、2回意識を失ったらしい。

 だからといって何か深刻な状態だったわけではなく、出産に伴った疲労とかホルモンバランスとかそのあたりの何かで、ふらっときちゃう人は多いみたい。

 安産で安心していたので、油断するんじゃねえぞと釘を刺された気分だった。誰かに。

 幸いしばらく休んでいたら回復してきたので、部屋に戻ることができた。

 ここで僕は一旦帰宅。

 彼女のご両親が面会に行く時間に合わせて僕も再度向かうことになったので、その前の時間で休憩と、必要なものの買い出しを済ませた。

 彼女のご両親と病院で合流。お祝いでお寿司を買ってきて頂いた。僕のことを気にかけてもらえて嬉しい。めちゃくちゃありがたい。

 赤ちゃんのことはここではとんとんちゃんと表記する。

 ご両親がとんとんちゃんを見て喜んでくれて、それを見てると僕も嬉しくて、幸せな気分だった。

 あ、このとき初めて抱っこした。上手にできなくてガチガチだった。下手なことをして何かあったらと思うと怖かったなあ。

 当たり前だけど彼女はまだ疲れてて、傷も痛いみたいだし、早く元気になるといいなあって願ってた。

 この日は彼女が夕飯を食べるのを見届け、それから僕の実家へ行って写真を見せてきた。

 翌日は仕事。職場で無事に産まれた報告をして、ぱぱっと仕事を終えて、面会に。

 出産から一日経った彼女は、なんだかすっきりした顔をしていて、とっても可愛かった。

 妊娠中のしんどそうな感じがなくなったから、すごくいい顔してるなって思った。

 傷が痛むからあんまり動けないみたいだったけど、それでも昨日よりも元気になってたから安心した。

 この日からとんとんちゃんも同室でずっと彼女と一緒。

 彼女の疲労が心配だった。ずーっと見てなきゃいけないのって、しんどいはずだから。そりゃあかわいくて癒やされるけどさ。

 その次の日は土曜。

 うちの両親を連れて面会に行く日。

 その前に抱っこひもを買いに行くので、うちの両親を誘ってみたらホクホク顔でついてきた。

 特に父がウキウキしてた。めずらしい。

 抱っこひもは彼女のお母さんからお金を頂いていたのでそれでありがたく購入。

 うちの母も抱っこひものお金を出してくれるつもりだったらしくて、買ってあげたい気持ちのやり場に困ってた。

 そしたら寝てるときにくるくる回るおもちゃ(名称が分からないなんとかメリーみたいなやつ)が視界に入ってきて、これほしいんじゃない?!ってキラキラした顔で言うわけ。

 確かに要るかもしれないけど、何種類かあってどれがいいかわからんしって思ってたら、すかさず店員さんがこれがおすすめですよ~~~~って言ってくるわけ。上手い。

 彼女に相談して、あったら使うだろうということで買ってもらうことにした。

 孫のためになにか買えることが最高に嬉しいらしくて、お金払うのが楽しそうだった。

 なにか買わせることが親孝行になるとは。

 父も、車のおもちゃ見ながらいずれこういうのを買ってあげるって言ってたし、とにかく孫という存在は二人にとってわくわくの対象らしい。

 買い物を終えて一度帰宅し、時間調整をしてから面会に。

 うちの両親は恐る恐るって感じで、ニコニコしながらおとなしくとんとんちゃんを見てた。

 父は抱っこするのは怖いって言って、母が抱っこしたけど、母もガチガチだった。そりゃあ数十年のブランクがあるから緊張するよね。

 ふたりとも嬉しそうだった。

 あんまり長居しても彼女が疲れちゃうのでと言いつつ1時間くらい滞在して、退室。

 帰りにやよい軒寄って家族水入らずで食事して帰った。

 とんとんちゃんという共通の話題ができたこと、孫が産まれて嬉しくて面会できてテンション上がっていること、この2つの効果で家族としての絆が深まった気がした。

 すごく楽しく食事できた。

 ありがとうとんとんちゃん。そして妻。

 それで今日も午後に面会に行った。

 その前に彼女の実家へ寄ってチャイルドシートを装備。最新式に比べるとちょっと劣るところはあるだろうけど、まあ多分大丈夫。

 買い物もして、彼女のところへ届けた。

 おむつ替えと、ミルクをあげるのをやらせてもらった。夢中でミルクを飲むのはめっちゃ可愛かった。

 しかし難しい。慣れだろうけど、難しかった。

 ビビらず積極的にやって覚えていきたい。

 彼女にやってもらわなきゃできないっていうことはなくしておきたい。

 ただでさえ彼女の負担が大きいのだから、彼女の代わりにやれることは全部完璧くらいになっておかねば、助けることができない。

 早急なレベルアップが必要である。

 出産の疲れからは脱しつつある彼女だけど、今度は育児の疲労がのしかかってくるわけで、僕にできることをどんどん探して楽にしてあげたい。

 以上がとんとんちゃん誕生前後の記録である。

 冒頭で簡易的にとか言ってた気がするけど、結構がっつり書いたね。

 これからきっとものすごく大変で、いろんなことが待ち受けていると思う。

 楽しいことや嬉しいことも、辛いことやうまく行かないこともいっぱいあると思う。

 でも彼女とならうまくやっていける。

 僕にとって彼女は、妻であり、当たり前だけど大切な人であり、そして最高の相棒だから。

 今までと同じように、これからも二人で力を合わせればどんな問題も解決できるはずだ。

 最後に、産後の彼女は一段と素敵になった。出産を頑張ってくれたことへの感謝もあってか、僕の彼女に対する愛情は更に深まったように思う。

 とんとんちゃんを抱っこしてたり、ミルクあげてたりする姿が素敵なんだよね。母親としてというよりも、妻として。僕の大切な人が赤ちゃんのお世話をしている~素敵~赤ちゃん可愛い~って感じ。

 産後ってお互いに愛情が薄れることがあるみたいなことを聞くけど、全然そんなことなくて安心した。

 これからもずっと仲良くやっていこうね。

 以上!