かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

大勝利

 すこし寝坊してから起きて、食事を用意して、支度をして、お昼を過ぎたくらいから出掛けた。

 今日はやることがいっぱい。

 まずは彼女のおばあちゃんのところに向かう。

 おばあちゃんは今日が誕生日。

 プレゼントもなんにもないけど、顔を見せればおばあちゃんが喜んでくれるだろうってことで、会いに行った。

 おばあちゃんはいつもニュートラルな人。いつ行っても歓迎してくれる。

 なんというか些細なことを気にしないというか、ずるい考えとか持っていなさそうな、裏表がなさすぎると言うか。この現代社会においてかなり稀有な存在なのではと思う。

 僕はおばあちゃんのことが結構好きだ。

 彼女はとっても良い孫だと思う。

 おばあちゃんの誕生日をきちんとお祝いしてあげるし、今日の記録として写真を撮ってあげて、今度持ってきてあげるねと約束をしてあげてた。

 おばあちゃんはもう結構忘れっぽくなっちゃってて、午前中に来た人のことも忘れちゃってた。話している中で、それが彼女の両親だったことを思い出したから、完全に記憶が抹消されているわけじゃないみたい。でも、思い出しづらくなっているのは間違いない。

 彼女はそれに対応するために、紙に書いてあげたり、今回のように写真を用意してあげたりと、できる限りの最善を尽くしてる。

 優しいなあって思う。

 おばあちゃんのことは大切に思っていても、何度も同じ話をされるのに辟易したり、言ったことを忘れられていることが辛かったりして、会いに行きたくなくなってしまうことだってあると思う。

 彼女はちゃんと定期的に会いに行ってる。

 これって素晴らしいことだと思う。

 そんなこんなでしばらく滞在して、どら焼きまで頂いてからお暇した。

 郵便局に寄ってお金を下ろしてから、最も憂鬱なイベント、父の実家訪問へと立ち向かうことにした。

 昨日のブログであれだけ思いの丈を書き綴ったので、僕の中での思考はわりと整理された。

 彼女が隣りにいてくれるのはものすごく頼もしい。

 でも、彼女がいてくれるからなんて安心していると、僕はとたんにダメ人間になってしまう。これから行くところは彼女にとっては完全にアウェー。僕はまだギリギリ、本当にギリギリ身内だから、気合い入れて頑張らなきゃいけないのは間違いない。

 変な緊張感が僕を包みこむけど、飲み込まれなかったのはやはり彼女の存在のおかげだ。彼女がいてくれるだけで、すごく精神的支えになるのよね。

 チャイム押して「こんにちはー!(僕)ですー!」って言ったら、伯父さんが出てきた。

 突然の訪問と僕の勢いに気圧された感じの伯父さんは急いでおじいちゃんを呼びに行ってくれた。

 仏壇にお線香をあげて、一息ついたところでおじいちゃん登場。

 諸悪の根源である伯母さんは買い物に行っていて不在。

 伯母さんの不在と、先制パンチによって形勢はかなりこちらに傾いてた。

 話しづらそうな伯父さんと、彼女いわく地蔵みたいに喋らないおじいちゃん。

 当たり障りのない会話をしていたら、おじいちゃんが彼女のお父さんが教員であることに触れた。

 田舎の年寄りに、教員という職業は畏怖の対象らしい。

 二人とも、明らかに教員の娘ということにビビっていた。

 ここで僕たちの勝利は確定した。

 彼女はほとんどしゃべらないうちから良い子認定され、こんな素晴らしい娘さんをお嫁に貰えてお前はよかったなと言われた。

 めちゃくちゃ上等なお客様が来たかのような対応だった。

 彼女は本当に良い子なので正当な評価なのだが、確実に教員の娘という先入観で見てた。

 彼女のお父さんありがとう。

 彼女のおじいちゃんもすごい人だし、彼女のお母さんだって先生をやっていたわけで、その辺りの詳細を聞いたら、向こうの一族は恐れおののいてチビるんじゃないかと思うね。

 おばあちゃんのところに行って話を聞いてて改めて思ったけど、彼女のおじいちゃんは本当にめちゃくちゃすごい人なので、彼女の尊敬する人がおじいちゃんしか思いつかないっていう話も大いに納得できる。

 そしてそんなおじいちゃんが亡くなる前に、結婚の報告ができてよかったなと本当に思う。ほんの少しだけど話ができて、認めてもらえたのだ。

 僕ももっとおじいちゃんが元気な頃に会って話をしてみたかったなあって思う。

 彼女の影響か、いつの間にか僕もおじいちゃんを大好きになってる。

 結婚式の打ち合わせも夕方からあって、MCの人との打ち合わせだったんだけど、そこでもおじいちゃんの話が出た。

 このMCさん、さすがプロって感じの人で、話がうまいのはもちろん、聞くのもうまい。

 こちらの話を聞いてほしくなってくる。話したくさせるのがうまいってことかな。

 今まで言うのをためらっていたような些細なこととか、本筋では結婚式に関係のないことなんかもじゃんじゃん話せた。

 彼女のおじいちゃんへの思い入れも、どの程度理解してくれたのかは不明だけど、でもだいぶ気持ちを入れて聞いてくれてて、すごく共感してくれてた。

 そのおじいちゃんへの思いも、結婚式でうまくMCさんから言ってくれるらしい。

 この人だったら安心して任せられるなって思った。

 打ち合わせ2時間以上。

 バンケットキャプテンの知る限り、MCさんとの打ち合わせ史上最長らしい。

 MCさん、彼女のこともたくさん褒めてくれた。

 彼女と話すのが楽しくて、ずっと話していたいって思うって言ってくれてた。

 あと、初対面の人にも壁を感じさせないというか、話しやすさとか身近さを感じさせる特別な魅力があるとも言ってた。

 最初に話したときからその魅力が分かったって。

 仕事だから楽しそうに話してくれるのは当たり前なんだろうけど、彼女の言葉ですごく楽しそうに笑っていたし、会話の言葉にすごく力がこもっていたので、少なくとも彼女のことを気に入ったのは確かだろう。

 いろいろ詰め込んだ一日だったので、打ち合わせ終わった頃には眠気もやってきて、へろへろ。

 20時回ってた。

 母がお土産があるからよかったら今日寄ってって言ってたので、打ち合わせ後訪問。

 晩ごはんも用意されていたのでありがたく食べて、今日の出来事をわいわい話して、帰ってきた。

 だいぶ疲れた。

 プロフィールムービーのサイズが全然合ってなくて文字切れてたので、修正しなくちゃ。

 今からなんとか完成させて明日持っていくんだ。

 がんばるぞぉー。

 おわり。