かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

ぴん

 僕が仕事から帰ってきて、ご飯を食べ終えた頃、彼女が僕に言えない秘密があると言ってきた。

 彼女は内緒を内緒のままにしておくのが苦手。

 それは口が軽いっていうことではない。

 黙っておくことはできる。

 ただ言いたくなっちゃう。言いたいという気持ちが溢れちゃう。

 言いたくなるジャンルもあって、誰かの不利益になるような情報を言いたくてたまらないって感じにはならない。

 何かいたずらしたときと、何か内緒で食べちゃったときと、あとは何か良いことがあるんだけどまだ伝えるタイミングじゃない時。

 そういう時は言いたくなっちゃうみたい。

 彼女に、僕には言えない秘密があるって言われて、まず、何食べたの?って言った。

 彼女は前にもこっそりお菓子を食べて、可愛く内緒にしようとしたことがあるから。

 でも違ったらしい。

 今日買い物に出掛けてたから、何か高いものを買っちゃったっていうことかなあとも思ったけど、どうやら違う。

 聞くと僕ががっかりすることになるらしい。

 気にはなるけど、言わないっていうので、まあいいかと思おうとした。

 気にしないようにしようと思えばできなくはないので。

 でも彼女は言いたい気持ちと、言わないでおかなきゃっていう気持ちがせめぎ合っているらしい。

 この苦しみから解放されたいというので、なんなのか教えてもらうことにした。

 すると、彼女はおもむろにカバンから、包装された何かを取り出した。

 僕へのお誕生日プレゼントだという。

 思わず笑ってしまった。

 内緒にしておきたかったって言いながら、悲しそうに渡してくるんだもの。

 可愛い。

 一生懸命考えて、選んで買ってきてくれたから、言いたくなっちゃったんだね。

 その気持ちはものすごくよく分かる。

 僕は全然ガッカリなんてしなくって、すごく嬉しかった。

 誕生日プレゼントは無いものと思ってたのと、彼女が一生懸命用意してくれたんだなってわかったから。

 結構前から計画してて、昨日も僕がぐーすか寝ている間に色々調べてくれてたんだって。

 何がいいかなって。

 貰ったのはネクタイピン。

 仕事でも使えるし、その他冠婚葬祭でもバッチリ使える。

 自分で買うことはないアイテムなので、嬉しいしありがたい。

 言わないようにしたかったって涙目になりながら言うので、可愛いなあと思って頭を撫でてた。

 誕生日に貰えたほうが絶対嬉しかったでしょっていうけど、そんなに変わらないんじゃないかな。

 プレゼントを貰えたことが本当に嬉しい。

 彼女が考えてくれてたことも。

 ありがとう。

 プレゼントを用意して、言いたくなっちゃう彼女可愛い。

 おわり。