やきにくあじ
帰ってきたら彼女がご飯を作ってくれていた。
仕事着から着替えている時に、ふと嬉しさがこみ上げてきた。
彼女がご飯を作って僕の帰りを待ってくれているという状況。
幸せすぎやしないかと。
毎日感謝しているし、幸せを感じているんだけど、たまーに前触れもなく初心に帰ることがある。
昨日も寝る時に、彼女がふと「夫婦」という単語を使って、それを聞いたらテンションが上がった。
僕と彼女は夫婦なのだ。
僕の思考はあんまり立ち止まることをしない。
常に進み続けてて、だから忘れっぽい。
良いことも悪いことも忘れてしまうので、これじゃあよくないなあと思っているところである。これは余談だった。
こういうふとした瞬間に、僕の思考が立ち止まることで、今ある幸せを噛みしめることができる。
夫婦という単語のおかげで、自分が彼女と結婚できて、幸せに暮らしているという現実をじっくりと考えることができた。
決して普段、忘れてるわけじゃないんだよ。
改めて考えるということをしないで、贅沢にも今の状態を普通と感じてしまっている。
彼女と付き合えたこと、一緒に暮らせたこと、結婚できたこと、どれもが普通ではない。
最初から考えれば可能性がゼロのところから、少しずつ積み上げて実現したものなのだ。
彼女がご飯を作ってくれることなんて、本来ならば涙を流して喜ぶべきことと言っても過言ではない。
彼女のことを思い過ぎてごはんが喉を通らなかった時期があるんだけど、その頃の僕に教えてあげたら、文字通り涙を流して喜ぶと思う。
でも、あの頃の僕に教えてあげたら、将来的にそうなるのか!って喜んで頑張らなくなりそうなので内緒にしておく。
もっとよろこべ僕!
おわり。