かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

最善の選択

 彼女は複数の答えがある問題が苦手だ。

 これはもちろん、テストとか学校で出されるような問題のことではない。

 例えば、彼女が欲しい化粧品があるとする。しかし特定のメーカーや商品が決まっているわけではなく、いくつか条件があってそれに当てはまるものが欲しいというような状態。そうすると彼女の挙げた条件と一致している商品が何種類か出てくる。彼女の求めている条件をクリアしているという最低限のハードルをクリアした商品が一つならばそれを買えば正解になるんだけど、二つ以上合った場合どちらを選んでも正解ではあるが、どちらのほうがより良い選択なのかという問題に突き当たる。

 ネットで商品レビューを探してみたり、価格で比べてみたり、その他の情報で比べてみたり。

 彼女からしてみると、ネットのレビューは嘘と本当が入り交じっていてどれを信用したらいいのか分からないらしい。個人差もあるしね。ネットで絶賛されていても実際使ってみたら自分には合わなかったってことも十分にあり得るわけだ。

 こちらのほうが高いからとか安いからっていう理由で決めても、良いものではなかったら後悔してしまう。

 どれだけ考えて選んだとしても、結果的に気に入らなければ失敗になってしまう。彼女はそれがすごく嫌みたい。

 AとBの二つで迷っている場合だと、Aを選んだ時に、後でBを買えばよかったってなるのが嫌。

 失敗しないように考えて考えて、でもどれだけ考えても失敗はしてしまうかもしれないというジレンマに悩まされ、場合によっては考えることが嫌になったり、商品を買うことをやめたくなったりしてしまう。

 そこで僕が何かしらアドバイスして彼女の背中を押すことで、一歩踏み出せることも多い。

 購入した後に彼女がすごく後悔してへこみまくるっていう場面にはあまり遭遇したことがない。それは僕が一緒に考えて良い選択をする手助けができたからかなあなんてうぬぼれている。

 最低条件をクリアした上で更に選択肢が複数ある場合、その中には、大正解と正解ともしかしたら不正解が混ざっているかもしれない。彼女は大正解を選びたいからすごく考えるけど、自分の選択に自信が持てなかったり不安だったりする。選択をした結果、大正解ではなく正解だったとしても彼女は満足するかもしれない。でもやっぱり大正解を選びたい。

 彼女が買い物とかで悩む時ってこういうことを考えているんじゃないかなあって思った。これだけ書いて大間違いだったら恥ずかしい。

 彼女はドラえもんの道具の「ミチビキエンゼル」が欲しいって言っていた。左手にはめて相談すると、その者にとって的確と思える判断を返してくれるひみつ道具。どちらを選んでも正解に思える場合。どちらかを選んだら失敗してしまいそうな場合。どんな場合でも的確な方を選んでくれるなんて素敵だ。彼女がこれを欲しいっていう気持ちもよく分かる。

 僕が関われる部分とそうでない部分があるのは確かだけれど、僕ができる範囲で彼女が的確と思える判断を下せるよう僕が協力してあげたいなって思う。もしもその判断が失敗だったり間違ったりしたとしても、僕が一緒にいたらなんとかしてあげられるんじゃないかなって思う。二人で考えれば失敗した時のリスクって下がるんじゃないかな。

 彼女の苦手な部分を僕が上手くフォローできたらいいなって思った。