かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

無理にでも上げていく

 今日はいつもより早くから仕事の日で、僕は酷く憂鬱な気分に陥っていた。昨日からの気分も引きずってしまっていたというのもあって、とにかくテンションが上がらなかった。

 彼女も同じ時間からの出勤でテンションが上がらず元気の出ない僕をすごく気にしてくれた。隣で働いているやつがどんよりとした雰囲気を漂わせていたら気になるだろう。これが僕じゃなくったって彼女は気にして話しかけてあげただろうし、元気出るように気を配ってあげたはずだ。元気がない人を誰よりも気にしてあげられるのが彼女だからね。

 もちろんそれが僕だったからより気にしてくれたってのはあると思う。何度も元気出してって話しかけてくれたし、気にかけてくれた。それなのに僕はいまいちテンションが上がらず彼女を困らせてしまった。立場が逆の時に、僕が彼女を元気づけようとして上手くできないと非常に悲しくなる。彼女の悲しそうな顔を目にして、僕もいま彼女を同じ気持にさせてしまっているんだって思った。そして彼女が元気でなくてごめんねって謝ってくれるときの気持ちは、今僕が感じている申し訳なさに通じるものがあるのかな、なんて思った。そして僕には元気を出そうとする努力が足りないのかもしれないと思った。

 そこで負のスパイラルに陥りがちな思考を一旦遠ざける努力をした。そして、彼女が作った書類を僕が確認するようにって置いていってくれたので、手が空いた時に確認した。内容がよかったから、今度彼女が来たらよく出来ているって元気よく伝えよう、と決意した。結局元気が出ないのは心の問題だから、無理矢理にでも元気を出そうとすればそれに全体の調子が付いてくるんじゃないかという発想。

 なにもしないままだと、低いテンションでこれでいいよとか言ってしまいそうだったので、何度も頭のなかでシミュレーションして気分を盛り上げてこうやって言えばきっと上手く言えるって感じになるまで準備した。あれだよ、本当に良い出来だったんだよ。無理やり大げさにいいよ!って言うつもりだったわけではないよ。

 そうしている間に彼女がやって来たので意を決して、すごくいいよ!って言ったら彼女もそれに笑顔で応えてくれた。その感じだ、精進したまえ!って笑顔で言われた。安心したね。上手く言えた!って。その成功のおかげか徐々にテンションが上がってきて、彼女が先に仕事を終えて帰るころにやっといつもくらいになった。もっと早く盛り上げていければよかったなあ。

 努力次第でなんとなかる可能性を今日見出すことができた。

 ずーんってなってる僕に何度も話しかけてくれた彼女の優しさに触れることもできた。きっと嫌気もさしたろうに根気よく話しかけてくれてね、すごく助けられた。見放さずにいてもらえて嬉しかった。