かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

惹きつける相手

 彼女が惹きつける人には特徴がある。

 交友関係を広げることに積極的ではない人、もしくは性格に何かしらの欠陥があって仲良くなれる相手が限られている人。人とのコミュニケーションが上手くない、あるいは好きじゃない人。そんな人達が彼女に惹きつけられているように思う。

 もちろん、上記のような特徴を持たない人であっても、彼女に魅力を感じ、彼女を好きになる人はたくさんいる。

 問題は、上記のような特徴を持った、彼女に惹きつけられている人が彼女をよく困らせるということなのだ。

 それについて考えるきっかけとなったのは、昨日彼女と食事をしていた時に出た話だった。

 趣味のサークルの中に友人のAさんという人がいて、彼女はAさんがいる時はできるだけ話しかけたり一人にしないようにしたりと気を遣っているんだけど、Aさんは彼女にももちゃんとあんなちゃんといるほうがいいんでしょみたいなことを言ってくるらしい。

 ももちゃんとあんなちゃんは彼女と仲良しで一緒に遊んだりお誕生日お祝いしあったりしている。

 ここでどうしてそんな発言が出てくるのかというと、彼女の中での自分(Aさん)の価値をはかっているんだと思う。彼女の中で自分の重要度が高い位置にあってほしいと思っていると考えられる。

「自分より誰々と一緒にいるほうが楽しいんでしょ」

「そんなことないよ!」

 っていう会話で安心したいのだ。

 で、どうしてAさんがそういう発想をしてしまうかというと、交友関係が狭いからなんだよね。あ、実際Aさんの交友関係がどうかはよく知らないよ。予想ね。

 Aさんにとって、自分にこれだけ声を掛けてくれて構ってくれる相手というのが彼女しかいないというような状況になっているんだと思う。そして更に、自分が多くの友人と連絡をとったり遊んだりした経験がないから、彼女の側に立って彼女の状態というのを考えることができない。

 つまり、彼女は自分のことが大好きだからこれだけ構ってくれる。自分が彼女にとって特別な存在だと思ってしまう。

 でも彼女からすれば、Aさんは友人の中の一人であって、仲良くするのは当たり前で、声は掛けるし気を遣うわけだ。

 Aさんが誰よりも大切だから話しかけているわけではないし、Aさん以外の人と話しているからAさんのことがどうでもいいというわけでもない。

 ただそれをAさんは理解できない。もしくは多少理解できたとしても他の人に嫉妬のような感情を抱いてしまうのかもしれない。それだけ彼女に好意を持っているということではあるのだけど、彼女からすれば困った話なのだ。

 彼女は求められればできる限りそれに応えようと努力する。でも彼女が精一杯努力してAさんに話しかけているような状況で、なお、他の人といるほうがいいんでしょって言われてしまうと、彼女はこれ以上どう努力をすればいいのってなってしまう。他の誰とも話さずにAさんとだけ話をするわけにはいかないのだから。

 こんな感じで、彼女が困ってしまう、疲れてしまうっていう状況は今まで何度もあった。

 他人ごとのように書いたけど、Aさんの部分を僕に置き換えてもいいくらい同じような状態になったこともある。だからAさんの気持ちを推測しながら書いたけれど、僕の思考がかなり反映されていると思う。

 彼女は優しくて、話しかけてくれて構ってくれる。交友関係が狭い人間からすると、これだけ構ってくれる人というのは少ない。彼女に対する好感度はかなり上がるわけだ。自分が求めている時に話しかけてくれて、ちょっと寂しいなーって思っていたら構いに来てくれて、理想的だよね。独占したくなるし、他の人と話していたら嫉妬心も湧くだろう。

 でも、彼女に構って欲しい、彼女に大切に思われたいっていう気持ちは一方的なわがままであって、彼女はある程度までそのわがままに応えようと努力してくれているに過ぎない。

 それに気づかず際限なく彼女を求め続ければ、彼女の方に無理がでて、これ以上応えきれないってなる。彼女を失ってしまうことになるのだ。

 僕はそれにだいぶやらかした後気づいて、その気持ちと上手く付き合えるように努力している。彼女のサークルの付き合いとかそいうのに関しては、嫉妬というかそちらにかかりきりになって自分が構ってもらえなくて悲しい!っていう気持ちにならないよう努められるようになった。

 今回挙げた特徴を持っている人というのは、彼女を苦しませる可能性を持った人といえる。同時に普通に彼女のことを好きな人よりも一段階上の好意を持った、なんというか彼女のファンみたいな存在であることも確かなのだ。

 熱狂的なファンって厄介でしょ。それと同じことが言える。

 その人達の存在が彼女の力になることもある、でも彼女を追い詰める存在にもなり得る。

 僕も自覚があるという点で他の人よりまだまし、と思っているけど、彼女にとって苦しめるだけの毒のような存在にならないように気をつけなきゃいけないなって思う。