かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

はぶらし

 ついに明日、アパートの鍵が貰える。

 新しい生活のスタートラインに立つ。

 実際生活を始めるのはもう少し後になるけど、もう少しって言っても、もうすぐだ。

 何を言っているんだろう僕は。

 わくわくどきどきである。

 きっと荷物の運び込みと、快適な生活を送るための準備が非常に大変だろうと予想される。

 最近ちょっと感傷に浸って、こうやって彼女の家に仕事終わりに立ち寄ることもないのかぁとか、母の手料理をこんなに気軽に食べられなくなるのかあとか考える。

 僕は一人っ子だし、両親はきっとすごく寂しいだろうなあと思う。

 僕自身も冷静にこれからのことを考えると、寂しさがある。

 彼女は一人っ子ではないけど、彼女が家を出れば、ご両親は二人暮らしになる。

 きっと寂しさもあるんだろうなあと思う。

 それ以上にどうやら心配で仕方ない様子だったけども。

 彼女からしてみればそれは余計なお世話な部分も多い。

 心配だからと生活必需品をあれこれ揃えてくれるのはありがたい。

 だけど今後の生活についてとか、僕らの人生設計についてあれこれ口を出してくるのは少し違うんじゃないのかな?と思わなくもない。

 言いたい気持ちはよく分かるんだけどね。

 彼女はそういうのもあるし、前々から家を出たいという思いもあったから、僕ほど寂しさというものは感じていないのかもしれない。

 でもやっぱり、今まで嫌でも一緒にいた人と離れるというのは、どことなく寂しいものだろう。

 僕はそう思う。

 彼女が実家にいて感じていたストレスから解放されるのは、かなり良いことだろう。

 僕と二人でいれば、リラックスした生活を送れるだろうし、自由度が広がる。

 自由すぎて生活が崩壊するリスクも存在するけど、まあなんとかうまくやれるだろう。

 今日の僕は、遠足の前の子供みたいに浮足立っている。

 ぼーっと明日のことを考えていたら、髪を乾かすつもりだったのに、歯磨きをする準備をしていた。

 仕方ないので、歯磨き粉ついたままの歯ブラシを置いて、彼女に会いに行く前に磨いてこうと思った。

 そう思いつつ、爪切らなきゃなあと思って、ぱちぱち切っていたらすっかり歯ブラシのことを忘れて、そのまま彼女に会いに行った。

 意識が目の前のことにいってない。

 さて、明日が楽しみなので早く寝よう。

 そうしよう。

 おわり。