かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

むりむりむりむりかたつむり

 彼女は無理ができちゃうタイプの人間だ。

 風邪をひいていても、熱があっても、なんとか頑張れる。

 仕事を休んだほうがいいって言いたくなるような状態でも、頑張って仕事に行く。

 仕事中、体調が悪くてもなんとか頑張って最後までやり遂げる。

 仕事に行く前、ものすごく体調が悪くても、仕事に行くとなんとかなっちゃうっていうときもあるみたい。

 それで帰ってきたらダウン、みたいな。

 これは完全に彼女の精神力の強さによるものだ。

 先日、ご友人から、身体が弱いって言われて心外だったとショックを受けてた彼女。

 僕が知る彼女は、良く体調を崩すし、身体に不調をきたすことが多い。

 一日完璧に元気!って言う日があんまりないので、かわいそうになる。

 でもなんというか、身体が弱いというのとは少し違うような気がする。

 身体が弱い人は、寝込んで動けなくなるし、弱々しい。

 彼女は体調が悪くなっても動けるし、元気に見える。

 正反対なのだ。

 彼女がなぜそうできるのかは、先程も述べたように、精神力の強さ、これに尽きる。

 休むわけにいかない、迷惑をかけたくない、ダメな人だと思われたくない。

 そんな風に考えて、彼女は体調不良をはねのけて頑張ってしまう。

 今日、彼女は忘年会だった。

 でも行く前から体調が悪くて、とても盛り上がって楽しめるような状態じゃなかった。

 彼女を会場へ送り届け、途中で帰ってきてもいいからねと伝えておいた。

 でもきっと、彼女は最後までいるだろうし、忘年会の席を盛り下げないように気を遣って頑張るのだろうなと思ってた。

 だから余計に心配だったんだけどね。

 彼女からそろそろ終わるという連絡をもらって、迎えに行くと、元気そうに振る舞う彼女がいた。

 でも案の定、行く前よりも体調は悪くなってた。

 帰り道、とってもつらそうな彼女を見て、こんな状態なのにあんな風に振る舞えるのは本当にすごいと思った。

 僕だったら、体調悪いのを前面に出して周りに気を遣わせてしまうだろう。

 気持ちの強さだ。

 迷惑かけるわけにいかないし、自分のせいで気を遣わせたり、場の空気を悪くしてはいけないと、頑張ったのだ。

 偉いなあって思う。

 無理ができて、頑張れちゃうのはすごいことだけど、同時に自分を苦しめてしまうことでもある。

 今僕は彼女が無理をしなくていい場所を提供できている。

 休めるところ、心を落ち着かせていられるところとして、僕がいる。

 それが上手く行かない日もあって、彼女に怒られることもある。

 でも、そうやって彼女を助けてあげたり支えてあげたりしたいって思っている。

 彼女が無理をしてきても大丈夫なように、僕がいる。

 安心してね。

 おわり。