きゅうくつ
一昨日、彼女に降り掛かった災難。
それは突如、お父さんにキレられ、最終的にお母さんも交えた大喧嘩になるという散々なものだった。
きっかけとなったのは彼女の発言ではあったようだが、じゃあ彼女が悪いのかといえばそうでもないなあと思うような内容。
お父さんが過剰反応して勝手に怒り出したというのが正しい認識である。
この喧嘩によって、今まで彼女の中に溜まっていたものが一気に噴出し、様々な問題が浮き彫りとなった。
彼女から話を聞かせてもらって、僕なりに思うところがあったので分析していこう。
まず、彼女のお父さんは、理想を押し付けるタイプの人間である。
押し付けるとは言っても、強制力を発生させるような強引な押し付け方ではない。
家族みんなが楽しく過ごせるようにしましょう、というような目標を掲げ、紙に書いて貼り出すようなことをする。
こういうことが素晴らしいです!と主張することによって、暗にそれを守りなさいと押し付けているというような感じ。
無理やりやらされるよりもたちが悪い。
お父さんの中では、押し付けているという感覚は一切ないだろう。
おやすみと言ったら、おやすみなさいと返事をする、というようなルールを設定するのもそうだ。そうやってルールに沿うことを求める。
これが正しいことだから、それを守るのは当たり前のことであるというような認識なのだと思う。
こうして理想を掲げ、それを無意識のうちに強制している父に対し、彼女はその意思に沿うことができなくなっていた。
たとえば、どうしても返事をしたくない時に、返事をするまで声を掛け続けられたらどうだろう。
嫌気が差すよね。
次から別に返事ができるような状況でも、返事をしたくなくなってしまうだろう。
そういうことが彼女に起こっている。
お父さんは、理想の家庭を追い求めるがゆえに、みんなの我慢の上にそれが成り立っていることに気付かない。
彼女に嫌々返事をさせて、ルールに従わせていても、きちんと返事をしているから理想の家庭ができてるって思っている。
それが彼女にとって耐え難い苦痛なのだ。
小さい頃からずっと、少しずつこういうことで彼女は苦しめられてきた。
その苦しみをお父さんは全く分かってあげられてない。
自分の掲げた理想によって娘が苦しめられていると気づいたとしても、変えることは難しいだろう。今までずーっとそうやって生きてきたのだから。
この話を彼女から聞いて、非常に息苦しい思いをしてきたのだなあと思った。
理想の娘として振る舞うことを求められていて、でもそれをしたくない、という状況は、どちらに転んでもストレスが掛る。
自分の意思を殺して、理想の娘を演じるストレス。
理想の娘像を投影されているけれど、それに従わないことによるストレス。
悪いお父さんではないし、彼女とお父さんの仲が悪いわけでもない。
そこもこの問題の根を深くしている。
ダメな父であったり、悪い父であれば、言うことを聞かないという選択をするのは簡単だ。
しかし、模範的な父であったり、優しい父であったりする場合、それに従わないと、まるで自分が悪者のように感じてしまう。
それもよくない。
今回彼女が溜まったものをぶちまけはしたものの、それをお父さんが理解できているかといえば難しいだろう。
彼女が無理やり自分を曲げて、お父さんの理想に全て従ったとしても、それはまやかしの理想の家庭だ。
お父さんは満足で幸せかもしれないけど、彼女は全く幸せじゃないってなっちゃう。
でも、娘がそんな風に思っていることに気付かなければ、裸の王様状態だ。
これがまず一つ、彼女を苦しめる問題。
そしてもう一つ、これは彼女のお母さんによる問題。
彼女のお母さんは、彼女のことを非常に過小評価する。
親戚の集まりの席で、彼女のことをダメな人間だくらいのことを言ったらしく、彼女はとってもつらい思いをしてた。それを親戚のおばさんがフォローしてくれて救われたとも言ってた。
親戚のおばさんに悪口言われてたら、お母さんがフォローしてくれた、じゃないからね。逆だからね。
こんなことがよくあるらしい。
それによって彼女は、非常に自己評価の低い人間になってしまった。
一生懸命やっていても、ちゃんとやっていないと言われる。
彼女に対し、すぐにネガティブなことを言う。
悪口を言ってやろう、いじめてやろうなんて思っているわけではないようだ。
お父さんと同じく、お母さんも良い人。
僕も何度か会っているからそれは分かる。
ただ、たしかに必要以上に彼女の評価を低くして話をする感じはあった。
これは本当に彼女の性格形成に大きな影響を及ぼしている。
彼女が自信を持てないこと、すぐにネガティブなことを考えてしまうこと、この原因は、お母さんにある。
ずーっと彼女はつらい思いをしてきた。
お父さんとお母さんの両方に、苦しめられてしまっている。
この話を、彼女の許可を得て、僕の母に話した。
そしたら彼女の気持ちがよく分かるって言ってて、今の状況はかわいそうだって言ってた。
母の境遇と似てるから気が合うかも!って喜んでた。
僕の母と話をしてみるのもいいんじゃないかなと思う。
母と仲良くなってもらえるのも非常にありがたいし。
今の彼女は、両親に囲われた非常に窮屈な場所に押し込められているように感じる。
それを少しでも崩していけたらいいなあと思うのだ。
彼女と二人で暮せば、物理的にご両親と離れることができて、毎日関わることで生まれるストレスから解放されるんじゃないかなあと思っている。
そういうのも少しずつ進めていかなくては。