かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

どりーまー

 彼女が僕の家にお泊りに来る夢を見た。

 夢の中の僕は、もう何回かそれを経験しているかのような気分で受け入れてた。

 実際には彼女が泊まりに来たことなど一度もないのに。

 夢では彼女を迎えに行って、家にあげるところまでで終わってしまった。

 おそらく、現実に経験したことがないことを、脳がシミュレーションできなかったのだろう。

 彼女がどこで寝るのかとか、実際泊まることになったらどういう振る舞いをするのかとか、自分が納得できるような整合性を保てないんだろう。

 展開の行き詰まりを感じて、脳が覚醒に向かってしまう。

 あるいは、現実っぽくないなあと気付いて、目が冷めてしまう。

 これはやはり、日々の出来事を記憶しておく力と、それを発展させる想像力が足りてないのだろう。

 それに比べて、彼女の夢は長編であり、リアルである。

 彼女の夢のリアルさについては過去にも何度か触れたことがあるように思う。

 彼女が見る夢は、相当現実味がある。

 もちろん、現実にはあり得ない設定は存在する。

 登場人物の組み合わせは時間や場所を超越してくるし、普通ではあり得ない映画のような展開も起こる。

 ただ、妙に設定が凝っている。

 何か恐ろしいものから逃げている夢だったら、なぜ恐ろしいものが追いかけて来ているのかとか、その恐ろしいものは何なのかとか、そういう舞台背景がしっかりしているんだよね。

 さっき映画って言ったけど、本当に一本の映画のように話が作り込まれている夢を見ている。

 彼女の夢の中に入る方法があれば、ちょっと覗いてみたい。

 ただ、リアルな夢の弊害として、悪夢も現実のような感覚で襲い掛かってくる。

 ゆえに悪夢から受けるダメージがかなり大きい。

 設定がリアルじゃなかったり、あまりにも現実とかけ離れた展開だったら、気にしなくて済む。

 でも彼女にとって嫌な人が嫌なことを言ってくるなんて夢は、現実で言われたのと同等くらいの重みがある。

 嫌な夢を見たって言って元気ない彼女を見ると非常に気の毒な気持ちになる。

 夢の中で相当体力使ってるんじゃないかなあ。

 こんな夢をみるのも、彼女の想像力が優れているせいかなあと思う。

 リアルさを出すにはそれにプラスして、観察眼と記憶力。

 あんまり嬉しくはないと思うけどさ。

 僕はもう少しリアルな夢が見たい。

 おわり。