かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

びすけっつ

 彼女のズボンにコーヒーをこぼしてしまった。

 いたずらしようとしたわけでも、ふざけていたわけでもなく、不注意で手が当たってしまった。

 ホットのコーヒーだったんだけど、だいぶ冷めてて、火傷はしなかった。これはよかった。

 彼女はコーヒーを大切に少しずつ飲んでたので、それがこぼれてしまってショックだったようだ。ズボンに掛かったことよりもそっちが大きかったみたい。

 謝って許して貰えたけど、やっちゃったなーと思って落ち込んだ。

 ずーんって沈み込むと彼女も嫌な気分になるだろうと思って、普通くらいのテンションでいようと思うけど、なんとなく気分が落ち気味になる。よくない。

 彼女に気を遣わせてしまう結果となった。申し訳ない。

 さて、今日は仕事帰りに、みずまんじゅうくんに会ってきた。

 彼女から、アンパンマンビスケットがお気に入りとの情報を入手していたので、ドラッグストアに寄って買ってから行った。

 ついでに彼女にもお土産を買った。僕ってなんて気が利くんだろうとか自分で思いながら。自己評価高め。

 家のチャイムを押したら、彼女と一緒にみずまんじゅうくんが出てきてくれた。

 でも僕の姿を見た途端、走って逃げた。

 彼女が連れ戻してきたら、手にバスを持ってた。僕があげたやつ。

 すかさずアンパンマンビスケットを差し出すと、受け取ってくれた。あ!びすけっと!って感じの勢いだった。

 嬉しそうな姿を見れて、僕は幸せ。

 ちょっと心を許してくれたのか「ばしゅー!」って僕に見せてくれて「ぱったん」って言ってバスのドアを閉めてってお願いされた。いい感じの交流。

 そして、彼女にビスケットの箱を開けてもらおうとお願いするみずまんじゅうくん。

 今はダメよと言う彼女。

 諦めきれず、フタのところをこちょこちょするみずまんじゅうくん。

 そして箱を持って走り去る。

 向こうのほうで、みずまんじゅうくんのお母さんと、おばあちゃんとおじいちゃんの声が聞こえる。

 おじさんにありがとう言った?とか言われてる。

 そしたら廊下の向こうからまたみずまんじゅうくんがひょこっと顔を出して、こっちを見てにこーって笑ってくれた。

 おーいって呼ぶと、ぴょんぴょんカエルさんみたいにしながらちょっとずつ近づいてきた。

 これは仲良くなるチャーンス!と思ってぴょん!ぴょん!って言いながら交流をはかったけども、途中でひゃーっていいながら逃げ帰られた。

 なかなかそう簡単に仲良くはなれないらしい。

 あんまり長居をしてもあれなので、帰ることに。

 もう一度お別れをするために彼女がみずまんじゅうくんを連れて来てくれた。

 ばいばーいって言いながら手を振ってくれた。緊張気味な表情を浮かべながら。

 せっかくなのでハイタッチもした。すっごい控えめな勢いで、ふわってタッチした。みずまんじゅうくんびびってたかなあ。でも嫌がってはなかった!

 で、彼女が僕に抱っこさせてくれたんだけど、さすがに恥ずかしかったのか嫌だったのか、泣きそうになっちゃったのでバトンタッチして、ばいばいして帰った。

 いやあ、可愛い。

 相当人見知りしてるけど、それでもちょっとこっちが気になってくれてるみたい。

 ゆっくり距離を縮めていけたら、仲良く一緒に遊べるくらいにはなるんじゃないだろうか。なりたい。

 動きのすべてが可愛いので、見ていたい。

 ちょっとの時間だったけど、とても素敵な時間だった。

 ありがとう!

 おかげで幸せな気分になれた。

 あぁ一緒に遊びたい。