かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

餞別の品

 仕事を終えてスマホを見ると、彼女から連絡が来てた。

 僕が借りていた雑誌を返して欲しいっていう旨の連絡で、帰りに寄ってって書いてあった。

 おつかれさまでーすと職場の皆さんと別れ、すぐに彼女の家へと向かった。

 彼女の家の脇に車を停め、彼女に着いたよ~って連絡する。少しして彼女が走ってきた。車の中でしばし談笑。

 雑誌を返して、それから今日職場にブッダさんが来てくれたよーっていう話をした。ブッダさんはふらっと現れて、僕としばらく話をした後ふらっと帰っていった。何しに来たんだろうって思ってたんだけど、もしかして僕に会いに来てくれたのか!?って気付いた。僕が職場を去る前に一度会いに来てくれたのかもしれない。めっちゃ良い人。

 そんな話をしていると、彼女がちょっとしたプレゼントがあると言い出した。「明日にする?明後日にする?それとも今?」って聞かれた。明日が最後の出勤日。明後日はみんなが参加してくれる送別会の日。餞別の品としてくれるっていうことだったから、明日か明後日がいいかなと思った。でも彼女は思い立ったから今渡したいって感じだった。僕も何が貰えるのかわくわくする気持ちがあったので、じゃあ今!ってことになった。

 そんなにたいしたものじゃないよっていうから、僕は美味しいお菓子でも貰えるのかなあって思ってた。

 一度家に戻った彼女が、手に巾着袋を持って戻ってきた。中に何か入っているようだけど、サイズ感からして、小さいチョコか?って思ってた。お菓子以外の発想が全く無かった。

 巾着袋から紙袋が出てきた時、チョコじゃないかもしれないって思った。プレゼントが貰えるのが嬉しかったので、ウキウキしながら受け取った。なんだろうなーって思いながら開けてみると、中から出てきたのはお守りだった。

 なんと彼女の手作り!!

 しかも素材には見覚えがあった。一緒に手芸店に行ったときに彼女が買ってた布。細い紐がほしいということで色々探した結果、100円ショップで見つけた紐。どちらも何に使うのかなあって思ってた。特に布の方は、適当に何か作るために布を買っておくっていう感じなのかなって思ってた。でもそれにしては明確な目的があるような布選びをしていたので、作るものが決まってるのかな?とも思ってた。しかしそれが僕のためにだったとは全く予想してなかった。

 彼女が僕のためにお守りを作ってくれたことに感動して涙が出てきた。

 しかも彼女は「頑張ってね!」って言ってくれた。仕事でどうしようもなく辛くなった時とか挫けそうなときに中を見てねって。

 僕のことすごく考えて作ってくれたんだなって思った。彼女の優しさが嬉しくて嬉しくて、うるうるした。涙がこぼれ落ちそうだった。

 彼女にバレて泣いてる!って言われてしまった。ちょっと引かれてしまったけど、プレゼントが嬉しい証拠だから良しとして欲しい。

 ほんとに嬉しくてたまらなかった。ぶわーって嬉しい感情が湧いてくると泣けるんだね。

 仕事の時ずっと持っていようって思った。そしたらきっと頑張れる。

 こんなに思ってくれている人がいるのってとっても幸せだ。嬉しい。

 家に帰る途中、二回ほど嬉しい気持ちがぶり返してきて泣きそうになった。

 お守りの紐部分苦労したって言ってた。きっとやり方を調べて試行錯誤してくれたんだろう。ありがとう。

 大切にする。

 手作りのものを貰えたっていうのがすごく嬉しい。

 僕はとっても幸せものだ。