かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

視点の話

 彼女の冷静な視点の話。

 彼女は常に、事態を客観視する自分を持っている。

 盛り上がっている時でも、ピンチの時でも、その状況に気持ちを支配されない。

 とっても楽しい状況下にいても、その楽しさを感じると同時に、今の自分とか周囲を冷静に観察している。

 飲み会の席で、盛り上がってくると周囲に気を配れなくなる人っているけど、彼女はそういうことが絶対にない。

 いつでも、参加者全員に気を配っている。会話に入れてない人がいれば話を振るし、盛り上がってないなと感じれば盛り上げる側に回ってくれる。

 その場の空気に飲まれないっていうのかな。

 僕は場の空気に飲まれやすいし、すぐに冷静な視点というのを失ってしまう。

 はしゃいでいる僕を、彼女が横からたしなめてくれるっていうことが多々ある。その度に僕は、はっとさせられる。バツの悪い思いがするけど、毎回感謝している。

 彼女の持つ冷静な視点というのは、僕に欠けているものなんだなってすごく思う。

 今日、一ヶ月間続いた転職活動に終わりがやってきた。採用の連絡が来たのだ。

 嬉しい気持ちと、不安な気持ちが入り混じりながら、彼女に採用の報告をした。

 彼女は良かったね!と言ってくれたが、それほど喜んでくれているように感じなかった。僕はそれを見て、彼女はあんまり嬉しくないのかなって不安になった。

 自分は頑張ったし結果も出したから、喜ばれるのが当然みたいな、甘えというか慢心みたいなものがあったと思う。それを彼女に押し付けてしまったなあと今になって思う。

 彼女は喜んでくれていなかったわけではなかった。転職が決まっても、それはスタートラインに立っただけだからここからが大変なんだって考えてくれていたみたい。

 その通りだなあって思う。

 僕は、採用通知来た!決まった!っていうことで盛り上がって、今後のことを冷静に考えられていなかった。

 彼女は僕よりも、僕の今後について考えて憂いてくれていたんだと思う。

 今日くらいは浮かれてていいと思う、と彼女は言ってくれた。

 でも、これから先のことをちゃんと考えていかなくちゃいけない。採用になって嬉しいから、この先のことを考えずに先送りにしていいってわけじゃない。

 彼女のおかげでそういう風に考えられるようになった。

 彼女の冷静な視点にすごく助けられている。

 甘えてばかりじゃいけないと思うんだけど、彼女がいてくれるって思うと安心する。

 彼女が持つ、落ち着きとか大物っぽい雰囲気っていうのは、この冷静な視点が関係しているのかもしれない。

 おわり。