かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

ご機嫌どんぐりくん

 彼女の大ファンであるどんぐりくんが先日久々に姿を見せた。

 彼女は仕事終わりで、もう帰ろうとしているところだったのだが、ギリギリ間に合って対面できた。僕が別件で彼女を少し引き止めていなかったら、帰ってしまって会うことが叶わなかったかもしれないので、僕のファインプレー賞である。よくやったと自分を褒めておいた。

 恥ずかしがり屋だったどんぐりくんが、この日は彼女に積極的に話しかけに行っていた。

 僕も混ざろうかと思ったんだけど、どんぐりくんにとって僕は知らない人的な位置っぽいので、お邪魔になってしまうといけないのでやめておいた。どんぐりくんからしたら、彼女に会いたくて来ていて、彼女と話したいのだから、他の職場に要る人間のことは大して気に留めていないのだと思う。

 どんぐりくんのお母さんは僕のことを認識してくれているので、会釈してくれた。

 どんぐりくんはサッカーをやっていて、そのことについて話している様子だった。

 彼女に会えてはしゃぐどんぐりくんを見ていると、とっても微笑ましい。得意気にサッカーのことについて語っている様子は、彼女にすごいって思ってもらいたいとか、褒められたいとか、そういう心理が隠されることなくどーんと出ていて、子供らしい素敵な姿だった。

 どうやらサッカーの大会に出て、ローカル番組にてその模様が放送されるらしい。

 シュートが決まって、嬉しくて彼女に早く話したかったんだそうな。可愛い。得意気な表情も納得だ。

 どんぐりくんにとっての一年っていうのは僕ら大人にとっての一年の何倍も色濃くて、様々な出来事が起こる。引っ越してしまってなかなか会うこともできないから、年に数回会えるかどうかという状態の彼女のことを、どんぐりくんは忘れずに大好きで居続けている。どんぐりくんのお母さんが彼女のことを気に入っていて、どんぐりくんをけしかけている、という説もあったけど、あの嬉しそうなどんぐりくんの顔を見れば、彼自身が望んで彼女に会いに来ているんだろうなと思う。

 どんぐりくんの純粋な好意というのが少し羨ましく思う。

 大人になると、好意に対して見返りを求めてしまったり、好きという思いを素直に表せなくなったりしてしまう。

 僕もそんな純粋な好意を持っていたいなあと思う。

 どんぐりくんには彼女のことをずっと憧れのお姉さんとして、大好きでいて欲しい。