ウァレンティヌス

　バレンタインデーってことで彼女からお菓子を貰った。

　彼女が所属するサークルの皆さん分と、僕や同僚の分を作ったらしいので、なかなか大変な作業だっただろうなと思う。ましてやバレンタインデーのことを忘れていて、昨日急いで材料を買い出しに行ったことを知っているので、彼女の苦労がどれほどのものだったかは理解している。そして大半のイベントごとにほとんど興味がないという彼女らしさが出たな、とも思った。

　とはいえ今年は、作るぞー！という意気込みが彼女にあったので、以前一緒に遊んだ際にラッピング用の袋は購入していた。

　今日彼女からもらったお菓子を手に取り、あぁこれはあの時の袋だ、と嬉しく思った。

　僕の袋には特別に、彼女のお姉さんお手製のあんぱんまんぼーろが入っていて、これはみずまんじゅうくんとおそろいである。ありがたくいただいた。

　きれいな出来上がりのお菓子だったので、写真を撮っておいた。

　さっきからあのお菓子をなんと呼んだらいいのか、名称が分からないのでお菓子と言っているけど許してください。

　休憩時間に食べようかと思ったんだけど、急いで食べてしまうのはもったいないし、なんとなく落ち着かなかったので、家に帰ってからゆっくり食べることにした。

　せっかく貰ったものだから、パパッと食べずにじっくり味わわないとね！

　割れたりしないように注意しながら家に持って帰ってきて、先ほど頂いた。

　先にあんぱんまんぼーろを食べてみた。ボーロだ！！ボーロの味がする！！ってなった。当たり前なんだろうけど、手作りで出せる味なんだねあれ。おいしかった。

　彼女の作ってくれたお菓子は、ピーナッツバターとチョコを使用した、食べたことのないものだったんだけど、びっくりするくらいお互いがマッチしていてとってもおいしかった。本当はマシュマロを使いたかったらしいんだけど、どこへ探しに行ってもなかったようで、苦肉の策として選んだピーナッツバター。大当たりだった。

　彼女の発想力の勝利。

　あの、なかなか名前が覚えられない「アラザン」も飾り付けられてておしゃれだった。

　もっと食べたかったなあ。

　毎年何かしら用意するっていうのも大変だと思うけど、彼女が作った何かを食べられる貴重なイベントなので、バレンタインデーはありがたい日だ。

　仕事でぐったりだったので、帰ってきてお菓子が食べられて、ちょっと元気が出た。