かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

文章漬け

 今日は彼女と遊んだ。

 遊んだという表現が適切ではないかもしれない。間違いではないのだが、今日に限っては、遊んだというよりも一緒に仕事をしたというような表現が合っている気がする。

 何をしたのか。順を追って説明していこう。

 まず、彼女を迎えに行く。お昼はだいぶ過ぎた時間だったが、二人ともお腹を空かせていたのでまずは食事を済ませることに。ハンバーガーを食べた。久々に行ったお店だったので楽しかった。美味しかったし。

 それから、僕らはいそいそとカフェへと向かった。

 コーヒーを飲むためでも、ランチを食べるためでもなく、執筆活動をするために。

 よく、カフェで仕事をするとか、カフェで勉強をするとかあるけど、今日はそんな、集中できる空間としてのカフェを求めてやってきたのだ。

 僕たちが訪れたカフェは、長時間滞在歓迎!なんなら作業用の道具貸すよ!くらいの勢いのカフェなので、こういった目的で来るにはうってつけの場所。

 さて、気になるであろう執筆活動については詳しくは書けない。機密事項である。彼女にとってこれはかなり重要な仕事であり、今回カフェを訪れたのも彼女の要望があったからだ。

 僕はその付き添いのようなもので、僕自身はさしあたって執筆を迫られるような状況には陥っていない。

 主な使命は、彼女が執筆に使っている機器が不調な為、改善を試みること。彼女が執筆活動に集中できるようにサポートすること、また書き上がったものに対する感想を述べること、などだ。

 彼女が集中している間、僕はコーヒーを飲んだり、ピザを食べたり、本を読んだり、絵を描いたりしていた。自由人。

 カフェという空間はなぜこんなにも集中できるのだろう。雑音はあるし人の動きもあるから、気が散る要素はあるはずなのだ。それなのになぜか集中できる。家でやるより絶対いい。

 彼女から書いた文を見せてもらって、少し感想を伝える。それを受けて彼女は修正を加えたり続きを書く。こんなやり取りを何度かして、着実に完成度を高めていった。

 彼女がカチャカチャと文章を書き上げていくのを見ていたら、僕もなにか書きたくなった。特にこれ!というものはないけど、勢いに任せて書いてみた。カフェ効果なのか、わりとすらすらと文章が出てきて、楽しかった。彼女の姿を見て、創作意欲が掻き立てられたという感じかな。

 気付けばカフェにやってきてから4時間以上が経過し、合間に休憩は挟んだものの疲労が無視できないレベルになってきたので切り上げることにした。

 その後、本屋さんに立ち寄り、執筆の参考になる資料を探した後、帰宅することにした。

 道中彼女から、書いていた文章に対する感想を改めて求められ、最初はぽつぽつと感想を述べていたのだが、彼女の家に到着する頃に、盛り上がってきてしまった。車を停め、僕が感じたこと、考えたことを真剣に集中しながら語った。

 僕は彼女ほどうまく文章を書くことも組み立てることもできないから、彼女の書いたものに対して意見を述べることが、失礼なことになるのではないかと心配していた。でも彼女は僕の視点というものを信頼してくれていること、文章を読んでどう感じるかは読んだ人の自由だということを言ってくれたので、遠慮せずに思ったことをしっかりと伝えた。

 すると、書いたものに対する意見交換が楽しくて仕方なくなってきた。僕が言ったことに彼女が高いレベルで返答をしてくれる。こう感じたと伝えれば、それを発展させた意見を言ってくれたり、解説をしてくれたりする。この部分が気になる、といえば素直に受け止めて改善案を考えてくれる。

 お互いに意見を出し合うことで、考えが深まり、新しい発見があり、一人で考えても辿りつけない領域に踏み込んでいく感覚があった。それが楽しくて楽しくて仕方なかった。

 僕が言いたいことが完璧に伝わる。僕が思う文章の組み立て方とか、言葉の選びとか、同じことを彼女も考えているってことが分かった。僕が理想としているものと同じものを彼女も求めている。文章を書くときに同じことを意識しながら書いている。

 文章に対する考え方のレベルが近い人が今まで周りにいなかったから、この考え方が伝わる、この視点が理解してもらえる、っていうのは嬉しいを通り越して興奮ものだった。

 会話が盛り上がりすぎて、いろんな方向に話が飛び、いろんなことについて意見を交換した。車内はめちゃくちゃ寒かったんだけど、それを我慢してでも話し合う価値があった。

 ついでに僕が先ほど書いた小説もどきに関する指摘を彼女がしてくれたのだが、僕の痛いところを突く素晴らしい指摘で、恐れいった。更にその指摘箇所をどのように修正すれば良いかの案まで提示してくれて、しかもまたその案が素晴らしいの。僕が書いたキャラクターの人物像を読み取って、矛盾ない行動を提示してくれるの。天才か!って何回か言ったんだけど、本気でそう思った。彼女がいればラノベの賞くらいなら貰えるんじゃないかと思う。わりとまじで。

 僕と彼女の決定的な能力の差を感じた。文章に対する考え方とか感じ方は似ているんだけど、彼女のほうが確実に多くを見ることができているし、深く捉えることができてる。

 今日、彼女と一緒に文章について語り合い、深く考え、僕の創作意欲がすごく刺激された。彼女の創作に対する姿勢、考え方、そしてこだわり。どれも見習わなきゃいけないことだなと思った。

 せっかくだから今日書いた小説もどきに手を入れて、彼女にまた見てもらいたいなーって思う。たくさん指摘してもらえればそれだけ僕は成長できるんじゃないかなって思う。文章上手になりたい。

 彼女が書いた文章に対して、今後僕は遠慮なく思ったことをどんどん伝えていこうと思う。こういうこと言われたくないかも知れないとか、こういうこと言ったらムカつかれるかなとか、色々考えて言わずにいるよりも、伝える方が彼女の役に立てる。

 僕が全力で思ったことを伝えて、僕が思う最高を彼女に要求しても、彼女はそれを受け入れるだけの力があると感じた。彼女の力を僕は信頼している。

 変に気を遣って褒めなくても、素直に良いと思ったら良い、変だと思ったら変と伝えれば、彼女はそれを正しく受け止めてくれるはずだ。

 今日話しあえて本当に良かった。

 有意義で、刺激的で、価値のある素晴らしい一日となった。

 今後も彼女の執筆活動の役に立てるように頑張りたい。