かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

月刊みずまんじゅうくん

 一昨年から去年にかけて、みずまんじゅうくんの写真を加工して、雑誌の表紙風にするという遊びをしていた。

 ずっと続けていたのだが、みずまんじゅうくんが一歳になった記念の画像を作ってひとまず終了とした。

 僕の怠慢で毎月きっちり作ることができず、刊行が遅れ気味だったこともあって、きりのいい所で終わりにしとこうって感じだった。

 しかしこの月刊みずまんじゅうくんは、僕の想像以上に反響があったらしい。

 当初僕はせいぜい、彼女のお姉さん(みずまんじゅうくんのお母さん)や彼女の両親が見るくらいだろう、と思いながら作っていた。

 だが、思いの外広がりをみせることとなる。

 お姉さんのフェイスブックにデビューしたり、彼女のお父さんがわざわざ印刷してファイリングし、それをみずまんじゅうくんのお父さん方面の人達が見たり。

 僕が直接知らない人たちにまで、月刊みずまんじゅうくんは広まっていったのだ。

 全体的にだいぶ好評らしくって、嬉しい限り。

 僕としては、そんなに褒めてもらえるほど出来がよかった自覚がなくて、良いものを作ろう、完成度を高くしよう、と思って頑張ったことは事実だが、意外だった。

 これはもちろん僕一人の力ではなくて、彼女には何度も修正点の指摘や改善案の提示をしてもらっている。

 僕は彼女に比べてだいぶセンスが劣っていると思っているので、すぐ彼女に意見を求めたくなってしまう。

 彼女の助力もあって出来上がっている月刊みずまんじゅうくんだが、彼女からの評価はそれほど高いと思っていなかった。

 彼女は多くの雑誌を見て、素敵なデザインというものに多く触れ合い、目が肥えている。素人の僕が作った、見よう見まねの作品なんてどうしたって見劣りしてしまうだろうなってずっと思っていたのだ。

 でも、周囲からの評価を聞いて、あぁもしかしたら彼女も僕が思っている以上に評価してくれているのかなあって思うようになった。ちょっとだけポジティブになった。自分の作るものに対してはネガティブになりがち。

 再び月刊みずまんじゅうくんが刊行されるのを期待してもらっているんじゃなかろうかと調子にのった。やる気が出た。彼女のお姉さんは僕のことを編集長と呼んでくれているし。

 最初は彼女が喜んでくれるといいなと思って作っていたのだが、今やもっと多くの人のために作らなくっちゃという使命を勝手に持っている。

 彼女のおかげで、僕の世界が広がった一例であるといえる。

 僕という存在が、彼女の周囲の人々にきちんと認識されているわけではないにしても、僕の作ったものが、僕の手を離れて予想以上の多くの人に認知されるというのは、嬉しいものだ。

 何かを作ることが好きな人には分かってもらえると思うけど、自分が作ったものが認められるって嬉しいよね。

 こうして僕はまた制作意欲を復活させ、新たな作品へと向かうことができる。そんなに大げさなものじゃないけどね。

 みずまんじゅうくんが二歳になるときに、いいやつを作りたいなと思う。

 おわり。