かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

深み

 彼女のご要望で先日、昭和歌謡や演歌のCDを借りた。

 なぜそうなったかというと、彼女が観たものまね番組を見ていて気になったらしい。

 彼女はものまね番組が大好きで、毎回録画して観ている。彼女がものまね番組好きだなあっていう認識はあって、それはものまねをする人が好きだからだと思っていたのだが、どうやら今回は歌まねの歌のほうを楽しんだらしい。

 僕たちの年齢だとさすがに昭和歌謡に親しんで生きてきたという世代ではないのだけれど、昭和の名曲とかってテレビでやってることも多かったし、有名な曲は知っているなあっていう感じ。だから改めて聴いてみるといい曲だなって思うものも確かに多い。彼女もきっとものまねされた歌を通して(さらにこの番組ではご本人が登場していたらしいのでそれも含めて)昭和歌謡の良さを感じて、聴きたいと思ったのだろう。

 聴きたいと思ったアーティスト名を書き出して、これを借りてきてとお願いされた。昨日たまたま一緒に行く機会ができたので、一緒に選んで借りることができたのだが、もし僕が一人で借りに行ったらどれがいいのか分からなくて困っただろうなと思う。

 彼女は今回たまたまこういう方向の音楽を聴こうと思い立ったわけではなくて、昔から演歌や昭和歌謡に対して親しみがあるようだ。僕以上に。おそらく僕らの世代の人たちが知らないような曲をいっぱい知っていると思う。

 どうしてそうなのかは、家族の影響なのかはたまた彼女の興味の持ち方だったのか分からないけど、僕はそれが彼女の面白さの一つだと思っている。

 音楽に対する興味の幅がものすごく広い。

 これは何度も取り上げているけれど、クラシック、ジャズとかのおしゃれな音楽から、海外のR&Bとかパワフルな感じの音楽とか、日本のJ‐POP、アイドルソングまで、幅広い。その中に昭和歌謡と演歌も入ってて、こんなに幅広く聴いている人ってそういないんじゃないかなあと思う。僕は音楽好きだと思っているんだけど、こんなにいろいろ聴かない。結局自分の好きなジャンルがあってそこの曲ばかりを聴いてしまう。

 こういう幅広さというのが、音楽だけじゃなくいろんな面で発揮されているのかなって思う。

 興味の向かう先、ひとつひとつに対してきちんと力を入れられる感じ。

 彼女が好きなものってたくさんあって、興味を持つものもたくさんある。そのそれぞれに対して、彼女はにわかで終わらないくらいの力を入れられる。

 音楽も、興味をもつと、ちょっとだけ聴いて飽きたからもう聴かないとはならず、しばらくその音楽と触れ合っている感じがする。だから、聴いたことあるよ~だけではなくて、この曲が良いよねとかこのアーティストは歌い方が良いよねみたいな少し踏み込んだ話ができるようになる。

 彼女の人間的な深み、魅力、というものは、こういう興味を持ったものに対して力をいれることでたくさんのものをそこから得て、自分の中に経験値として貯めていったことによって生み出されているのかなと思った。

 おわり。