かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

ボールペン切れ

 今日、ふと彼女に会いたくてたまらなくなった。

 明日は仕事が一緒だし、今日は会えなくても我慢すればいいんだけど、会いたくなっちゃった。寂しくなったのだ。彼女の存在を身近に感じたくなった。

 昔に比べれば、僕はそういう気持ちを我慢できるようになったなあと思う。今までそれで迷惑を掛けてきたこともあったから、少しは成長したんじゃないかな。どうしようもないのに会いたいと駄々をこねたり、寂しいという感情をそのまま彼女にぶつけたりしていたから。

 というわけで、なんとか我慢しようと思っていたところに、彼女から愛用しているボールペンのインクが切れそうという連絡があった。その連絡が買ってきてという意図だったわけではないのだが、彼女のお役に立てるならと買いに行くことにした。そうすればボールペンを届けに行きがてら彼女に会えるし。というか、ボールペンを買ってあげたいという思いよりも、彼女に会いたいという思いが勝っていたことは間違いない。

 しかし文具店が閉まるのは結構早い。彼女の仕事終わりにあわせて出掛けては間に合わない。かと言ってボールペンを買ったあとそのまま彼女の仕事が終わるのを待つには時間がありすぎる。でもボールペンは買いたいし、彼女にも会いたい。

 どうすればいいかは単純な話で、一回出掛けて帰ってくればいいのだ。

 ボールペンを入手後、家に帰ってきて時間を潰す。そして先日彼女と一緒に買った服を着て、誕生日プレゼントにもらった眼鏡を掛けて、彼女に会いに行った。

 昨日の今日みたいなタイミングで服と眼鏡を装備していくのはあまりにも発想が単純と思われるかなと少し心配だったが、服を着れるのはわくわくするし、眼鏡も掛けられて嬉しいしで我慢できなかった。彼女にも見せたかったし。

 いつもと違う場所で待ち合わせして、コンビニに立ち寄り、温かい飲み物とポテトを買い、車に戻った。彼女は服似合ってるって褒めてくれた。超嬉しい。

 仕事であった話を聞きながら、ポテトをむしゃむしゃ食べて、ホットなドリンクを飲み、しばし彼女と一緒にいられる時間を満喫した。いい時間だった。

 ついでに彼女が部屋を整理した時に出てきたノートを貰い受け、不要な本を預かり、更に本を貸してもらった。あまりに大量だったので、帰ってきて車から下ろす時に、本が入っていた袋の取っ手がちぎれた。びっくりした。

 いろいろ貰ったのでうきうきする。

 そうそう、ボールペンは無事に渡せた。彼女が感謝してくれたので、僕はそれだけで労をねぎらわれ、更にお釣りに幸せををもらったような気分だった。

 師走という時期的な何かに心を弄ばれているからか、なんとなく寂しくて、彼女から幸せをもらうのに、すぐに寂しいという感情が生まれて、僕はなんて欲張りな人間なんだろうなと思う。

 彼女といられるときの幸せは確かなもので、僕の心を満たしてくれる。それでももっと彼女と一緒にいたいと思うのは、やはり僕が欲張りなのだろう。

 なんかごにょごにょ言ったけど、今日は良い日だったよ。

 おしまい。