かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

おおいそがし

 今日、僕は休みだったんだけど、二度職場に顔を出した。

 どちらも別件で出掛けたついでではあったのだけれど、僕の目的はもちろん彼女に会うこと。

 一度目に行った時は、タイミングが悪くってめちゃくちゃ忙しそうで、彼女の顔を見れて、会話も少ししただけで終わってしまい、非常に残念だった。そこで、二回目の突撃を試みた。こいつなんでまたいるの?って思われるのを覚悟で行った。

 二度目は彼女が休憩中で(そこを狙っていった)、しばらく一緒にゆっくりすることができた。

 それから仕事に戻った彼女を見届けて、職場を後にした。

 僕は彼女を見るのが好きだ。

 彼女が視界に入ると追ってしまう。遊んでいる時も、仕事をしている時も、いつでも。

 彼女をじーっと見つめては、目が可愛いなあとか、くちびるが可愛いなあとか考えている。それを彼女に悟られると、汚れたものを見るような目で見られてしまうので注意が必要だが、たいていバレる。

 そういう時の僕の顔はとっても気持ち悪いんだと思う。

 今日は、仕事をしている彼女を、いつもとは違い、外側から見ている感じが強かった。いつもは休みの日に顔を出しても、多少会話する余裕もあるしそれが許されるような状態なんだけど、今日は本当に一日中忙しいらしくって、仕事中に話しかけられるような余裕がほぼなかった。

 そうすると、僕がいないときの彼女を少し見ることができる。

 僕の存在を認識して、僕のことに気を配ってくれている彼女じゃなくて、僕の存在は認識しているけど、気を配る余裕が無い、気を配ることができない状況に置かれている彼女。

 それが彼女になにか影響を及ぼしているかは分からないんだけど、少なくとも僕にとってはかなりの違いがあって、僕は喧騒の外から彼女の仕事振りを見ることができるようになる。そして彼女はその僕の視線に注意を払っていられないほど慌ただしい。

 だから、笑顔が素敵だなあとか、身のこなしがテキパキしているなあとか、すごく感じがいいなあとか、じっくり彼女を見ることができる。僕と一緒にいる時の彼女がきりっとしていない訳ではないんだけど、こうして離れたところから彼女をみると、すごくきりっとして仕事をしているように感じた。気合が入っているというか真剣というか。忙しかったからかなあ。

 客という立場から彼女を見ると、これほど的確で気持ちのいい対応をしてくれて素晴らしいなあって思う。彼女にファンがつくのも頷ける。僕が本当にお客さんだったら、ファンになってると思う。

 それくらい仕事中の彼女は素敵だった。

 そんな観察を終えて、そろそろ帰ろうと思っている時、僕を見つけた彼女が駆け寄って来てくれて、その瞬間がすごく嬉しかった。直後、彼女は何事もなかったかのように僕の横をすり抜けようとしてきたけど。

 おそらく僕を手放しで喜ばせておくのが癪だったのではないかと思う。

 通りすぎようとする彼女を、ちょっとちょっと!まって!と引き止める、というやり取りをするまでが一連の流れで、それが楽しい。

 忙しいのに僕がちょこちょこ顔を出すのを嫌な顔一つせず迎えてくれて、なおかつちょっと構ってくれる彼女はとっても優しいなあって思った。

 顔を出して良かったなあと大満足なのでした。

 ちなみに、失礼男は完全に僕が彼女に会いに来たんだなと分かっているようだった。彼女のこと大好きなのバレバレかも。