かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

評価の差

 彼女と僕では評価される部分が違うと思う。

 特に接客においては、彼女は以前、表彰されたことがあることが示すように、僕との差は歴然だ。彼女より長い期間働いているのに表彰されたこともないし、接客を褒められたこともない。羨ましいなあって思うんだけど、僕の努力が足りないんだろうなと思っている。接客の態度とか技法とか、職場の誰よりも素晴らしいと思うし、彼女が一番評価されるべきところだと思う。どんぐりくんがファンになってくれてるのだって彼女が良い接客をしたからだし、それもある意味評価されているって言えると思う。
 じゃあ僕はどういうところが評価されてるかっていうと、色んな仕事知ってるからっていうだけじゃないかなって思う。一応それは教えてもらえるように努力したり、教えてもらわずに勝手に見て学んだりというので努力はしているんだけど、彼女の目に僕が適当にやってると映るように、仕事に対する姿勢がそれほど評価されているとは思えない。ミスもいっぱいするし、間違ったこともするし。実は今日も見落としを指摘された。
 だから評価されているとしたら、いろんなことをなんとなく知っているというところと、新しいことを教わろうとする姿勢くらいなんじゃないかなと思う。
 接客業なんだから、接客態度が一番重要視されて評価されるべきっていう考え方だったら僕は全然評価されてないと思う。
 仕事の速さとか、クオリティに彼女と僕の間に差があるとは思わない。
 誰かを指導するというのを一生懸命やっても評価されないっていうのを彼女が感じていると思うけど、たぶんこれはすごく評価されにくい部分だと思う。彼女の指導で何かが改善されたとしても、第三者が客観的に見ていて、それが彼女の功績だというのが分かりにくいしね。でも軽んじていい部分じゃなくてちゃんとやらなくちゃいけないところだから、本当はすごく評価されて感謝されなくちゃいけないと思う。上司がそういうのを本来はしっかり見て評価しなくちゃいけないところだとも思う。
 彼女が普段、自分のためじゃなくて周囲のために頑張っていることのほとんどを、みんなは気づいていないし、縁の下の力持ちみたいになってしまっていると思う。
 それがあるからこそ、問題が起こらなかったり、起こったとしても小規模で済んだりしているからすごく助けられていると思っている。
 でもそれはやっぱり評価されにくいし、感謝もされないようなことだと思うから、彼女がそれを無理してやることはないと思う。それでなにかうまくいかなくなったとしても、それは彼女の責任じゃないからね。
 偉そうに聞こえたらごめんね。

 新人の指導係から降ろされたという件があったんだけど、それは、降ろされたというより完全にチンピラの好みだと思う。
 Y君を指導係に選んだのは、彼を成長させたいっていう理由だったらしい。確かに、今後指導する立場になっていくことを考えれば真っ当な理由だと思う。
 Y君一人では不安だから誰をもう一人つけようって考えた時に僕が選ばれた。

 それは単純にチンピラが僕のほうがホイホイいうことを聞きそう、自分の思うように使えそうって舐めてるからだと思う。
 彼女より僕が仕事できるからとか、彼女の今までの指導がダメだからとか評価されてないからということではないと思う。単にチンピラがくそ。
 そもそも指導係というものを重要視しているのがチンピラだけだし。チンピラという最高責任者が言っているからというので多少尊重はされているだろうけど。

 彼女が頑張ってることとか、彼女の功績とか、見えにくい部分をみんなに理解してもらおうと思ってに努力はしてきたつもりなんだけど、あんまりそれが成果という形にならなくてごめんね。
 彼女がやってきたこととか努力とか、無駄じゃないと思う。僕は彼女がが頑張っているのも、いろいろ考えてるのも分かっているから。
 ただ手応えがないまま努力し続けるのはつらいだろうし、もう頑張ることに意味を見出だせないという状態なら、彼女が言っていたとおり、無難にやりすごしていくのがいいのかなって思う。

 彼女がもし、今までと同じように頑張るというのなら、そばに居て支えるし、もし頑張るのをやめるというのなら、それもそばに居て支えたい。

 僕は今まで彼女の頑張る姿を見て、刺激や影響を受けてきた。今まで、自分が評価されるにはどうしたらいいか、自分が仕事をうまくやるにはどうしたらいいかって自分のことばかり考えていた。誰かが仕事ができなくても、自分が後でフォローしておけばいいやとか、やってないことがあってもこっそり直しておけばいいやとか。自分勝手なことばかり考えていた。

 でもそれでは良くないっていうことを彼女は教えてくれた。直接教えてくれたこともあるし、僕が彼女を見ていて学んだこともある。

 周囲のことを考え、周りができていないことをできるように努力し、職場がより良い方向に向かうように身を尽くすことがどれだけ重要であるか、彼女を通して理解した。

 やらなくていいや、適当でいいやって思っていれば、いずれ立ちゆかなくなる。今だけを見ず、先のことやこれから起こりうることを見ること、その大切さを彼女はずっと前から知っていて、一人で頑張ってきた。

 彼女の努力はあんまり評価されず、周囲に理解もされないかもしれない。僕はそのことがすごく歯がゆい。でも少なくとも一人、僕は彼女のことを理解して、応援するだけじゃなくて、自分も彼女を見習おうと努力している。彼女は僕のあり方を少し変えてくれた。

 人一人の生き方に影響を及ぼすってすごいことだよ。まあ僕が言っても説得力ないし、彼女もそんなに嬉しくないかもしれないけど。

 とにかく僕は感謝している。

 彼女のことを尊敬しているし、力になりたいし、助けてあげたい。足を引っ張ってばかりで、迷惑をかけてばっかりな気もするけど、ずっとそう思い続けている。

 後半話それてごめん。

 おわり。