かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

見極める力

 物事の意味を正しく理解する、本質を見極めるというのは誰にでもできることではない。また、それが容易にできる人とそうでない人もいる。

 今の職場ではルールが軽視されているという話を彼女とした。

 業務に支障が出なければ、多少ルールと違ったことをしても良いという考え方が蔓延し、それによってルールから逸脱した行動をとっていても見過ごされたり、大きく問題視されることがない状況が生まれてしまっている。

 それによってルールの形骸化、崩壊が起こってしまう。

 誰もそれを重要視しないのであれば、ルールが存在する意味が失われてしまうのだから。

 彼女はそのことをかなり危惧している。

 ルールや規則、あるいはマニュアルなどには、仕事をするうえでの心構え、最低限守らなくてはいけないこと、注意しなくてはいけないことが記されている。

 ルールや規則が必ずしも完ぺきというわけではないし、すべての事柄をカバーしているわけでもないから、ルールや規則にばかりしたがっていてはいけないというのも事実だ。だが、基本的にはその仕事に従事するすべての人の共通の認識として存在しなければならないもので、これがあるからこそ全員一定の水準で仕事ができる。

 これを好き勝手に変更したり、ルールに反することをしている人を見過ごしたりしていれば、職場の秩序が崩壊するのだ。

 彼女はそのことをきちんと理解しているし、それ故にルールというものをきちんと守ろうとしている。

 だが残念なことに、今の職場ではルールが軽視されている。

 彼女がルールから逸れているというのを指摘しても、問題が起きていないからいいというような反応を返され、まるで彼女がルールに口うるさい、融通の利かない人というような感じになってしまうということだった。

 確かに僕もルール軽視の傾向は感じていて、彼女ほど問題視していなかったけれど気になっていた。

 彼女の話を受けて考えてみたけど、上記のように、ルールという共通の認識があるからこそ、職場全体が足並みをそろえて仕事を行えるわけで、それを軽視している彼女以外の大半の人たちが間違っている。

 ルールというものの本質を見失い、多少捻じ曲げても問題が起こらなければいいという軽い認識でルールというものを見ている。

 彼女はルールの存在する意味、ルールを守ることの意味を深く理解している。そのうえでルールの及ばない問題に関して臨機応変に対応している。それならば問題ない。

 ルールを破ってもいいものと捉えて行動するのと、ルールは守らなくてはいけないものだが時として破らなければいけないものと捉えて行動するのでは、いずれ大きな違いが出てくる。

 僕はこのことについて深く考えたから、このような結論を出すことができたけど、彼女と話をしなければ問題の重要性に気付かなかったと思う。

 彼女が常に深く物事を捉え考えていることが伺える。

 やはり彼女は僕たちより少し高い位置から物事を見ることができるのかなって思った。