かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

伝達

 今日僕が仕事を終えて帰宅した後、新人さんが腰を痛めたらしい。状況や腰の状態っていうのはよく分からないけど、とにかく仕事はいいってことになって帰ることになったらしい。

 そこで彼女はY君に「新人さんが帰るってことを本人からいま働いている人たちに言わせたほうがいい」というようなことを伝え、さらにそれを新人さんに伝えさせた。彼女はその場を離れることができず、Y君に伝達を頼むほかなかった。

 怪我とはいえ自分の都合で仕事を放棄して帰るという状況において、本人の口から帰る事情を伝えるというのは大事なことだ。一緒に働いている人たちに、迷惑をかけてすみませんなり、後をお願いしますなり言う必要があるというのは至極真っ当な意見だ。

 その説明を他の誰かに任せてしまうようではよくない。

 そういう意識は、今この時だけではなく今後も必要になってくる。だからこそ彼女はそれを新人さんに伝えたほうがいいと思ったのだろう。

 自分が怪我をして辛いから帰れるのが当たり前だ、という考えではなく、自分が怪我をしてしまったから一緒に働いている方々に迷惑が掛かるという風に考えてほしいと。

 しかしY君はそれをどう解釈したのか、彼女のもとに新人さんを連れてきた。そして新人さんはすみません!って謝る。

 これではまるで彼女が私に謝罪がないまま帰るなんてどういうこと!って怒ったみたいじゃないか。

 もちろん、Y君は彼女がそんな風に言っているとは思ってないだろうし、新人さんもそういう風にはとらえていないと思う。

 その後彼女が聴取した内容によるとY君は「彼女が心配しているからいけそうなら挨拶してきな」と伝えたらしい。Y君としては彼女に言われたことを、そうか!彼女に挨拶させなきゃ!とミラクルな解釈をしたのだろうと思う。やりかねない馬鹿さを持っているから。

 新人さんとしては、きっとこのまま帰ってしまうのがよくないことで、ちゃんと挨拶して迷惑をかけることを謝罪する必要性というのはわかってくれたんじゃないかと思う。

 ただし、結局彼女の発言の真意は、Y君にも新人さんにも伝わっていないというような残念な結果になってしまった。

 Y君はどうでもいいけど、新人さんにはきちんとその辺を理解してもらいたいところだが、再びそれをうまく伝える機会があるか微妙なところだ。

 これに関してはY君の理解力のなさが一番の問題かなと思う。

 僕がいなかったからほかに頼むべき相手がいなかったという状況もよくなかった。

 彼女としては、新人さんのことを考えて、今後のために必要な意識と行動をアドバイスするつもりだったのに、全く思い通りいかず、非常にショックで残念だったと思う。

 思いやりが外的要因で空回りしてしまって、非常にかわいそうだった。