褒められ話 - かばのにおい

　最近入った新人の女の子がいるんだけど、やっと最近打ち解けてきて話ができるようになった。基本的に僕は人が苦手なので、ちょっと時間がかかる。

　その新人さんが今日、彼女と二人で話をした時に、彼女のことをお母さんが可愛い人だと言っていたと褒めてくれたらしい。それを伝えてくれるなんていい子だ。

　で、その話を、僕と新人さんが一緒にいるところで、彼女が僕に「こんな話をして褒めてくれたよー」って教えてくれた。

　詳細を知りたかったけど、がっつりそこで話をするわけにもいかず、とりあえず彼女が褒められてよかったなあ、やっぱり可愛いよなあって思って満足していた。

　それからしばらく仕事を教えながら一緒に作業をしていたら、唐突に新人さんが「お母さんが○○（彼女）さんのことが大好きで、可愛くてまだ若そうだから大学生に見える」というような話をしてくれた。さっきの話を受けてなんだろうけど、わざわざ僕にまで詳細を伝えてくれた。

　どうやら新人さんのお母さんはよく職場に来てくれているようだった。

　これをわざわざ伝えてくれるってことは、新人さんも彼女に対して好意的な感情を持っているということになるんじゃないかなって思った。自分がそうでもないって思っていることを母親が言っているからといってわざわざ伝えようと思わないだろうし。

　そこで気づいたんだけど、もしかしたら新人さんが働こうって思って仕事探しをしたときに、彼女のお母さんから助言があったのかもしれないなって。

　以前から彼女のことを知っていたのは間違いないし、彼女のことを大好きって言うのも最近いきなり好きになったということじゃなくて、きっと前からだろうし、ということは、新人さんがここを選んでくれたのももしかしたら彼女の力かもしれないっていう。

　新人さんがこの職場を選んでくれた理由に、働いている人が素敵だったからみたいなものがあったんだけど、それも彼女を指しているのかもしれなくて、そうだったらすごく良いなって思った。

　彼女がいるからこの職場にしましたというまでの大きな動機にはなっていないかもしれないけど、彼女の存在が後押しになった可能性は大いにあると思う。

　今までとは少し違った形で彼女が評価された形じゃないかなと思うと嬉しい。

　新人さんがこの話をしてくれてよかったなあと思った。