かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

多角的思考

 彼女は物事を多角的に考えることができる。

 一つの可能性に固執しないで、いくつかの可能性を考え、それを並列して比べながら思考することができるんじゃないかなって思う。

 たとえばとある一つの問題に対して、こういう理由からその問題が起こったのではないかと推測しなければならないとする。

 与えられた材料から、もっとも妥当な回答を導き出すのは誰にでもできる。

 いつも机の上に置いたお菓子がいつの間にかなくなっているという問題が起こっていて、その机によく近寄っているのはAという人だという情報があれば、犯人はAだ!って誰でも考えるよね。

 彼女はそこで他の要素にも目を配り、別の可能性を模索する。この場合犯人はAである可能性が最も高いけれど、しかしBやCという人物が犯人であるという可能性もあるはずという感じで。

 ここで愚か者は、Aが犯人だ!Aが悪い!と決めつけてかかる。一番分かりやすい回答を見つけただけで得意になってしまう。それによって他の可能性に目を向けることすらしなくなる。

 結果的にAが犯人であるならば問題はないが、他に犯人がいた場合は大問題だ。

 彼女の思考は凝り固まっていないから、Aが犯人である可能性もBやCが犯人である可能性も平行して考えられる。

 今のは完全にフィクションね。

 どうしてそう思ったかっていうと、彼女と話していると「こういうことがあって、こうなったから、こうだと思うんだけど、どう?」って僕に状況と彼女の推測を話してくれることがある。

 彼女の話は主にこのスタイルで、筋道を立てて分かりやすく話をしてくれる。

 話を聞きながら僕は彼女の提示してきた結論について吟味する。そこで僕は調子に乗って、こういう可能性もあるとおもう、もしかしたらこうかもっていう別の意見を出してみるんだけど、彼女は大抵それについてはもう考えましたっていう状態なのだ。

 僕が薄っぺらい思考で、あれやこれや考えているようなことは、彼女がすでに繰り返し考え、天秤にかけたて切り捨てたほうの結論なのだ。

 大抵彼女の行き着いた結論に僕がたどり着くには少し時間が必要になる。しばらくして、あぁそういうことか!こう考えてこう考えて、そうなるのか!ってなる。

 僕の思考があまりにも鈍いのかもしれないけど、彼女が多角的に物事を考えることができるというのは間違いないなって思う。

 そして一度出た結論に安易に満足せず、思考を積み重ねていく姿勢は素晴らしい。

 これでいいんじゃない?ってなっちゃう僕が見習いたい部分だ。