あついのきらい
夏は嫌いだ、と僕は思う。
のしかかってくるような暑さ。全身がじっとりと汗ばみ、不快感が押し寄せてくる。
暑い。暑い。暑い。
息苦しくなった僕は我慢できずエアコンのスイッチを入れる。訪れる開放感。このまま車を走らせておけば、彼女が乗るときにも涼しいかもしれないな、などと考える。
目的地であるコンビニへ到着する寸前、彼女から別のコンビニにしようという連絡が入った。さっき通り過ぎたコンビニだ。
幸い、同じ道を引き返すことなくコンビニへ向かうことができる。来た道を通るよりも別の道を通るほうが楽しい。
暑さから開放された僕の心は穏やかだった。
車を停め、彼女を待つ。待つのは嫌いではない。ただ、どれだけ待てばいいのか分からないのは苦手だ。先が見えない状態は不安を引き連れてくる。一時間後に必ず来ると分かっていれば待てるが、いつ来るかわからない状態で一時間待つのはつらい。
こんなことを言っているが、彼女に長い時間待たされたわけではない。しばらくして彼女はやってきた。
少し疲れているのかなと心配になった。顔を見れば調子の良し悪しはなんとなく分かる。仕事終わりなのだから疲れているのは当たり前。疲れてる?なんて言葉は愚問でしかない。
彼女を車内に招き入れ、しばしの談笑を楽しむ。エンジンを止めた車内は暑さを取り戻していた。
楽しい会話の片隅に苦しさが混じる。
彼女から笑顔を奪い去ろうとする悪魔を今すぐに消し去らなければならない。
僕は右手をそっとキーに添え、回した。
吹き出す風はまさに天使の息吹。悪魔はその面影を微かに残し、消えていった。
こうして愛しき人との時間は守られたのだった。
おしまい。
彼女は読むということが好きだというブログを書こうとしていたのだけど、上手くまとめられなかった。そこで、いっそのことブログを小説風にしてみたらどうだろうと思って書きだしたのはいいんだけど、普通にブログ書いたほうが楽だって途中で気づいた。
彼女は読むことが好きで、文章の意味やそこに秘められた思いを捉えるのが上手い。単なる業務連絡的な文章でも、書いた人がどういう心理状態で書いたのかとか、こういう背景があってこの文章を書いたんだな、みたいなところまで推察して考えることができる。
短い文章であれ長い文章であれ、彼女にとって文章はすごく重要な要素だと思う。僕なんかがさらっと目を通すだけだったり、読み飛ばしてしまうようなことに注目して、新しい事柄や疑問を見つけ出すことができる。
彼女はもしかしたら名探偵になれるかもしれない。
こんなまとめで今日のブログ終わり。