かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

彼女の不在とおにぎりさん

 今日かなり暇だったのでぼーっと仕事をしていると、以前一緒に働いていた、おにぎりさんの姿が見えた。僕は諸事情あって持ち場を離れられなかったので、じーっと視線を送っていると、目が合った。すると急いで近づいてきてくれたので、わーいお話ができるぞー!って嬉しくなった。

 おにぎりさんの第一声は「(僕の名前)くんが出勤してるってことは(彼女の名前)さんは休み?」だった。

 なるほど、おにぎりさんの目的は僕ではなく彼女だったのかと、ほんの少しだけがっかりした。気を取り直して話を聞いてみると、どうやら彼女が所属しているサークルの発表会が今度開催されるので、それについての話をするために来てくれたらしい。そりゃあ彼女がいるか気にするよねと納得。

 彼女からおにぎりさんにもお誘いの連絡が行っていることは聞いていたので、すぐに事情を把握した。

 少し込み入った話ではあるんだけど、お誘いの連絡が人づてで、彼女とおにぎりさんとの間には直接の連絡手段がなかったよう。そのためわざわざおにぎりさんは電話番号をメモした紙を持ってきてくれていた。

 電話でもなんでも連絡してくれていいからって言っといて!と言いつつ僕にそれを預けてくれて、変なこと頼んじゃんってごめんねと申し訳無さそうにしてくれた。僕としては信頼して預けてもらえているんだなと嬉しかったので、責任持ってお預かりします!!って張り切った。

 わざわざ彼女のために、職場に来てくれるおにぎりさんの優しさに感動。やっぱりおにぎりさんは彼女のこと好きでいてくれてるんだなあと思って嬉しくなった。

 僕がそれに関してお礼を言うのもおかしな話なので、きっと彼女も大喜びすると思います!とお伝えしておいた。

 今日は彼女がお休みなのではなく、出勤が遅い時間というだけだったので、その後彼女が出勤してきた時に急いでそのことを伝えた。

 彼女が絶対に喜ぶ情報だ!って思っていたので、それを伝えるときにすごくワクワクしていた。まるでとっておきの宝物を見せるときみたいな気分だった。

 その僕の期待を裏切らず、彼女は大喜びしてくれた。きっと彼女もわざわざ自分のために職場にまで足を運んでくれたおにぎりさんの優しさが嬉しかったんだと思う。

 別に僕は何もしてないし、彼女を喜ばせているのはおにぎりさんなんだけど、なんでか僕が得意げだった。

 彼女が喜んでくれて、僕はすごくいい気分で、そこから残りの仕事はちょっとしかなかったんだけど、すごくはかどった。

 やっぱり彼女好かれてる。おにぎりさんが良い人っていうのはもちろんあるんだけど、それにしたって好意を持っていない人にここまでしない。サークルの発表会を見に来てくれるのも、頑張っている彼女の姿を見たいからに違いない。誘われたから嫌々行くっていうんだったら、わざわざ今日職場に来てくれてないだろうし、そもそも間接的に誘われているわけだから知らんぷりもできたわけだ。でもちゃんと来てくれるのは彼女のことが好きだからに他ならないだろう。

 この一連の流れに運良く参加できて、彼女の嬉しさを少し分けてもらえてよかった。

 おにぎりさんありがとう。