かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

道案内

 彼女は方向音痴だ。

 例えば県内に存在する市を東から言っていくと東西がごちゃごちゃになっている。わかりにくいから日本規模で例えると、沖縄、鹿児島、北海道、熊本、千葉、みたいになるってこと。こんなに尋常じゃない間違え方はしないけどね。

 もう方向音痴という規模で収まるのか分からなくなってきた。地理の把握が苦手ということかな。

 明日彼女がお出かけするらしいんだけど、友人を迎えに行って彼女が運転をするようだ。向かう場所は以前僕と行ったことのある和カフェ。ただしその時は僕が運転していたため、彼女は自力でそこにたどり着くことができない。

 彼女の自宅からおよそ25分程度掛るその道のりを口で説明して理解してもらうのも難しいはずだ。

 地図を印刷して渡すのもいいが、情報が多すぎてわかりにくいはず。もっと彼女の目線で分かりやすい地図が必要だ。

 以前、もう少し近場のお店にいく道順を僕が手書きで示したことがあった。短い距離だったし、彼女もなんとなくは分かっている道だったので案内も簡単で心配もいらなかった。

 今回は彼女が今まで自力で運転して通ったことのない道を走ることになる。

 彼女は運転が下手なわけじゃない。だが、運転する機会が少ない。運転技術=経験みたいなところがあるから、たくさん運転している人のほうがいろいろ上手いじゃんね。

 できるだけ交通量が少なくいところ。そして車線が少なくて分かりやすいところ。車線の合流があるところは避ける。こんな感じで可能な限り道順を単純化する必要がある。

 道がわからなくて迷うっていうのが一番嫌なことではあるが、それ以上に事故が起こったら大変だ。

 極力道順のことを考えないでいいように、右左折が少ない、まっすぐ走れば着くぞくらいの簡単な道を選んだ。

 カーナビ使えばいいじゃんっていうご意見、ごもっともです。でもねカーナビって基本的に直前の曲がり角しか教えてくれないじゃん。目印になるような建物も案内してくれるけど、地元民のほうが分かりやすい目印を教えられるじゃん。

 僕の地図はとっても分かりやすい。今走っている道が正しいの?って不安にならないように、大きな分かりやすい建物はほとんど書き入れた。目印をどんどん消化していけば到着してしまうという寸法だ。僕とは何度も通った道だから、目印が分かれば安心して走れるはずだ。それに彼女も目立つ建物のことは覚えているっぽいし。

 過剰なまでに親切な案内にしてしまったけど、分かりにくいよりはいい。

 彼女が運転してて不安にならずにいてくれればそれでいい。

 でもやっぱりなんだか心配。彼女の運転を信用してないわけでも、彼女の方向音痴っぷりが不安なわけでもないんだけど、なんていうのかな、はじめてのおつかいみたいな。送り出すお母さんの気持ち。