謎の電話
今日は彼女がお仕事中、僕はお家でだらだらと過ごしていた。
すると仕事中のはずの彼女から電話が掛かってきた。
あれー?って思って急いで出たらいつの間にか切れてて、不在着信になってた。それからすぐ再び電話が掛かってきたので今度は切れたら困ると思ってさっきより急いで出た。
そしたらゴソゴソ電話の向こうで物音がして数秒で切れた。
「どうしたー?」って連絡したけど返事もない。
今までも休憩時間とか、急に確認しなきゃいけないことができたときなんか電話が来ていたから、何かしら伝えたいことがあったのかなあって思ってしばらく連絡を待っていた。だけど連絡は来ない。
時間の経過とともに、もしかしたら彼女になにかあったかなと思って不安になってきた。最初からどうかしたかなって心配はしていたんだけど、また連絡来るだろうっていう楽観的な気持ちもあった。でももうなんか楽観的な気持ちはなくなって、居ても立ってもいられなくなってきた。
彼女が仕事を終える時間に合わせて行こうかなとも思ったんだけど、もし彼女が連絡できない状況で、僕が来るのを待っているとしたらって考えて、支度が済んだら直ぐに向かった。
職場に行くとすぐ、彼女が手の離せない仕事をしているのが見えて、だから連絡ができなかったんだなって納得する一方で、一体何があったんだろうって謎が深まった。
彼女のところに行って、声をかけると疲れた顔をしていたので、瞬時に何かあったなって思った。
仕事中だったのでじっくり話を聞くことはできなかったけど、謎は解けた。
職場で有名なセクハラをしてくる客(おさわり男)がいて、そいつが今日彼女のところへやってきたらしい。彼女はそいつがおさわり男だって分かっているから、怖がりながらも出来る限り普通に対応したそうな。でも対応が悪かったとおさわり男が難癖つけてきたんだって。そんな事件が発生して、彼女はショックを受けていたのでちょっとだけ休憩させてもらい、その時に僕へ連絡をしたとのことだった。
詳しい話は彼女が仕事終わった時に聞くことにして、僕はしばらく職場に滞在して彼女を待つことに。
その間に職場の人ともこの事件について会話をしたけど、彼女は悪くないし気にする必要ないかって言ってくれてた。むしろもっと露骨に避けたり何か言ってやってもいいんじゃないかくらいのことを言ってた。
どう考えても彼女が被害者で、彼女は何にも悪く無い。だからそこら辺をちゃんと見極めて、彼女の味方をしてくれる人が僕以外にもいてよかったなって思った。当たり前なんだけどね、それができない人が昔いたから警戒しちゃう。
彼女が仕事を終えて帰り支度をしたところで、僕も一緒に帰ることにした。彼女から更に詳しい話を聞いて、おさわり男が気持ち悪い最低な男だという認識を更に深めた。だいたいそういうことをしてくるヤツっていうのは自分の非を認めない。自分が悪いことをしているっていう認識がないか、その事実から目を背けている。
仕事中の女性を狙うなんて卑劣すぎる。相手は客だからひどい扱いはできないということを盾にして、とても偶然なんて言えないような状態で触ってくるような男だ。つい当たっちゃいましたじゃすまされない。
本当に最低。イライラしてきた。
彼女は全然悪くないし、非常に可哀想で災難だったなあと思う事件だった。
もし今度、僕がいるときに同じようなことがあったら理性を保っていられるか自信がない。彼女以外の人がどうこうならまだ落ち着いていられるけど、どうしても彼女が被害を受けると我慢できない。
だいたいこういうことがある日に僕がいないのが本当に悲しい。毎回その場で助けてあげられない。ごめんね。
ところで、彼女は僕が来てくれるだろうなって思ってたみたいで、来るって思ってたって言ってくれた。信頼されてて嬉しい。でも思ったより遅かったって言われてしまった。そこは申し訳ない。
来てくれてありがとうって言ってもらえたので、来たかいがあった。
あのまま家でぐーたらしてなくてよかったよ。