かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

お怪我

 今日彼女と一緒に作業をしていると、彼女が高いところにあるものを取ろうとぴょんぴょんしていた。

 全く届かないってわけではなさそうだったし、ぴょんぴょんしているのが可愛らしかったのでしばらく見ていることにした。

 しかしなんだか危なっかしいし、僕が取れば済む話なので取ってあげるよって言おうとした。その瞬間、何度目かのチャレンジで取ろうとしていたものは彼女の手に収まったが、ついでに更に上にあるものが彼女めがけて落ちてきた。

 かろうじてそれを受け止めた彼女。大惨事にならなくてよかったーと思いながら僕は脚立を持ってきて一番上から落ちてきたものを元に戻そうとした。

 すると彼女が僕に手を見せてくる。なんと一番上から落ちてきたものを受け止めた際に手を怪我していたのだ。傷が深くてえぐれていて、すごく痛そうだった。

 可哀想で可哀想で言葉を失いかけたけど、僕が取り乱しちゃいけないと思って、ポケットからばんそうこうを取り出した。こんなこともあろうかと常に持ち歩いているのだ。

 彼女の手にばんそうこうを貼り付け、痛い?大丈夫?なんて声を掛けつつ、落ちてきたものを元に戻す。

 やはり傷が深かったみたいで、貼ったばかりのばんそうこうに血が滲んでいた。それも結構な量。

 彼女は血が苦手だ。採血の時とか気持ち悪くなっちゃうらしい。

 この時の彼女も顔が真っ青になって、気分が悪いって言っていた。僕はあわあわしながら、彼女を連れて休憩室に向かった。椅子に座らせて、よしよしーって背中を撫でていたらちょっと気分がましになったみたいだった。倒れるんじゃないかと思ってすごく心配した。

 怪我した後の彼女が、痛さのせいとか気分の悪さのせいとかもあって、すごくしょんぼりしていて、対する僕はとっても優しい気持ちになった。しょんぼりしている彼女が可愛かったからのか、可哀想だったからなのか、どっちもかな。

 だからこの時の僕は彼女にすごく優しくできたんじゃないかなって思った。

 仕事しなきゃいけなかったけど、こんなに弱った彼女を置いていけなくて、しばらく休憩室でゆっくりした。

 何か問題が発生した時、彼女を不安にさせちゃいけない!って最初に思う。だから僕がおろおろしてちゃいけないし、彼女が安心できるような材料を探して提示しなきゃいけない。最近それがちょっと上手くできるようになったかなって思う。

 大怪我までいかなかったけど、今日の怪我はちょっとした切り傷なんかよりも酷いものだったから、本当に気の毒だった。

 あんまり痛くならなくて早く治ってくれるといいなあ。