かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

おはなし

 彼女はよく話す。今日あった出来事とか、見たこと考えたこと、いろんな事を話してくれる。

 だからといって彼女がおしゃべりかと言えばそうではない。

 おしゃべりっていうのはどうでもいいことをダラダラぐだぐだ喋る人のことだろう。彼女は必要な情報をわかりやすく伝えてくれる。

 彼女にとって話すという行為は、聞いてもらいたいという欲求を満たすためと同時に、情報を共有しておくという意味があるんだと思う。

 仕事中にこんな出来事があったとか、こんな人が来たとか、そういう情報は今後仕事をしている時に気にしたほうがいいことだったり、彼女にとってよくないことが起こりそうな前触れだったりする。

 彼女からもたらされる情報というのはへーって流して聞いちゃいけないものばかりだ。一つ一つ重要で、しばらくしてからまた関連した話題が出てくることも多々ある。その時に、そんな話聞いたっけ?ってなるのはよろしくない。彼女の話は真剣に聞いてできるだけ内容を覚えておくのが良い。

 彼女が話をした相手に求めていることというのは、その話を聞いてどう感じたかという感想である。

 こんな出来事があった、という話に対して、それは大変だったねとか大丈夫だった?みたいな共感や心配みたいなものもすごく重要。それと同時に、こういうことだっただろうから彼女は悪くないとか、こういう風にすればよかったんじゃないかとか、冷静な視点からの評価というものも彼女にとって重要である。

 彼女が一連の出来事に対して抱いている感情が正当なものであるかどうか。例えば怒りという感情を抱いている状態で、彼女から話を聞いた僕が、それに怒っているのはおかしいというか、それに対して怒っているのは正しいというか、その部分が彼女にとって知りたいところなのだ。

 自分一人の感情で突っ走ってしまわないために、彼女は遭遇した出来事とか自分の感情を話して、それに対する相手からの反応を求めている。それによって自分の考えが補強されたり、あるいは一旦冷静になったりするわけだ。

 だから例えば、誰かがこんなミスをしていましたよって彼女が僕に話してきた時に、そうかあ大変だったねえなんて言っても、彼女の求めには応えられていない。そのミスに対してどう対処するかとか、あるいは今回のミスは大目に見て何も言わないでおくとか、とにかくどうするかについて意見を述べる必要がある。もちろん彼女にもどうすべきかという考えがあるから、そこで僕が意見をいうことによって同じことを考えているのであれば実行に移せるし、違う意見であれば協議する必要がでてくる。

 しょうもない話題で盛り上がることもたくさんあるけれど、彼女が僕に色んな報告をしてくれたり、考えを話してくれたりするときは、彼女がなにかしら僕に期待して、僕の考えとか気持ちを聞きたいと思ってくれている時なんだろうなと思っている。

 彼女がいろんな事を話してくれるのは、彼女が持っている情報とか得たものっていうのをみんなに話して平等にしようとしているのかなって思った。