かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

人の扱い

 彼女は人の扱い方が上手い。

 あの人にはこうやって接しておけばいいとか、こういう態度でいればいいとか、こんな風に伝えればやってくれるとか、そういうのを上手く考えてやっているんだと思う。

 面倒くさい人を適当にあしらうのも上手いし、相手をいい気分にさせるのも上手い。

 きっと彼女の中で、こうやれば上手くいくっていうマニュアルみたいなものが意識しなくても存在していて、それに則ってやれば大抵うまくいんだと思う。それは彼女が今までいろんな経験をしてきたからで、失敗や成功を繰り返していく中で、観察眼が磨かれ、考察する力が養われ、そして今の彼女が出来上がったわけだ。

 きっと僕に対しても、こうやっておけばいいっていう基本的なマニュアルは存在すると思う。テンション低そうなときはこうやって声掛けてみようとか、喜ばせるにはこういうことを言ったりやったりすればいいとか。

 こういうマニュアルみたいなものって誰でも持っていると思う。あの人はこれが好きだから、これをあげると喜ぶぞとか、あの人に趣味の話をするとご機嫌でずーっとしゃべり続けるぞとか。この話はあの人の前では厳禁とか、前にこれをあげたときに喜ばなかったというようなマイナス情報ももちろんある。

 全ては経験から導き出されるもので、彼女はそれを導き出すのが上手いんだと思う。

 彼女は思わす言ってしまった失言みたいなものがほとんどない。思わぬ一言で相手を怒らせてしまったなんていうエピソードはない。彼女の失敗ではなく、勝手に相手が怒りだしたということな何度もあるんだけど。

 よくよく考えれば相手が怒ってもおかしくないなっていうような事をいう時もあるんだけど、冗談めかして言うとかタイミングとか相手のメンタルとかを考慮して言うことで全然問題にならない。だから本音をずばっと言っても相手を怒らせることがない。ただ相手は冗談だと思っているから本音を重く受け止めてもらえないという弊害もあるんだけど。でも半分くらいは本気かもしれないって相手も思うはずだから、適度な効果はあるんだと思う。

 今日彼女はチンピラに、お前がいない方がいいというのを少しオブラートに包んでストレートに伝えんたんだけど、チンピラはヘラヘラしていて怒ることはなかった。でもその後ちょっと凹んでいるらしいという情報が彼女から入り、しばらくしたらチンピラが元気になっていたので、どうしたんだろうって思ったら、彼女が少し構ってあげたらしい。優しい。すこしかわいそうになったのかもしれない。

 そんな感じで、彼女は自分の発言が相手に与える影響についてよく考えている。それによってうまく扱うことができる。ある意味思い通りに相手を動かすことだってできると思う。知らず知らずのうちに僕も彼女の意のままに動かされているのかもしれない。なんてね。