かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

あまいみつ

 彼女って凄く甘い蜜のような存在。

 普段の彼女はとっても甘い。笑顔の可愛さとか、会話の楽しさとか、そういうものが僕をとろけさせてくれるくらい甘い。でれーっとしてしまうというか。

 彼女は、特別僕に優しくしてあげようとか、可愛い笑顔を見せてやろうとか思っているわけではない、と思う。彼女の基本がそれで、僕はそんな彼女が好きになったわけだ。

 基本的に彼女は愛想がいいんだと思う。仕事中も素敵な笑顔で接客しているし、対応が上手い。言葉遣いもきれいだし、発声が良いから聞き取りやすい。だからきっと初対面の人にも良い印象を持たれやすいし、彼女を気に入る人が一定数いるんだと思う。

 なかなか固定のファンができる一般人っていないと思うんだけど、彼女には結構ファンっぽい人がいる。ありがたくないファンの方が多いけども。

 で、彼女にファンができるのはどうしてかっていうのを考えてみた。彼女の基本的な愛想の良さっていうのがまず要因としてあげられるのは確かだ。これによってファンになってくれる人というのは幅広い層。おじいちゃんおばあちゃんからあかちゃんまで。彼女に恥ずかしがって手を振れず、彼女の背中に向かってバイバイするあかちゃんも、もうきっと彼女のファン。

 だいたいこの辺でファンになって、彼女を好意的な目で見てくれる人たちが一番良いファンである。ここからさらに深く、というか重いファンになってくるとだんだん狂ってくる。彼女の魅力にとりつかれた人たちとでも言えばいいんだろうか。

 僕が彼女から感じる甘さみたいなものを少しでも感じ取った人たち。彼女にとって自然な会話とか、自然な気の遣い方とか、それがなんだか特別な感じがしてしまって、彼女に特別扱いしてもらっているように思い込んでしまう愚か者たち。

 でも最初に言ったように彼女は特別な何かをしているつもりはない。ごく自然に世間話をして、笑顔でいるだけ。でもそれがまるでチョコレートのように甘くてやみつきになる。まるで彼女が自分だけに微笑んでくれているような気持ちになるんじゃないかなと予想する。でもそれは勘違いだからね。気持ちはわからんでもないけど。

 導入としては彼女の可愛さとか愛想の良さで、あの人素敵とか思って彼女の飜になるんだけど、それからずっと彼女を見続けて、ある日彼女となにか話すきっかけができて、って段階を踏んでいくと、勘違いファンのできあがりになってしまう。

 なんで彼女のファンができるかって言ったらやっぱり彼女が人を惹きつける魅力を持っているからってことになるんだと思う。

 特に彼女よりプラス10歳くらい年上男性からよく気に入られる。これは良いファンではなくて、勘違いファンの方なんだけど。だから大体迷惑なことになって、今までも散々彼女を悩ませてきた。

 でもこれは彼女が悪いわけではなくて、彼女のごく普通の状態を特別と勘違いする人のほうに問題がある。もしこれで彼女に改善を求めるとしたら、話をするなとか笑顔を作るなっていう無理な要求をしなくちゃいけない。

 冒頭で言ったように甘い蜜のような存在だから、彼女自身が求める求めないに関係なく寄ってくるやつらがいっぱいいるのだ。

 僕はその邪魔な奴らを払いのけて、できるだけ彼女が平穏無事に暮らすことのできるようにしたいと思っているし、それとは別に独占欲のようなものでその甘さを出来るだけ多く享受したいと思ってしまっている。僕もまた彼女の魅力にとりつかれた一人だから。