かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

感想文

 彼女はすごく感想を求めてくる。

 どう思ったか、どう感じたか、どこが良かったか、なにが面白かったか。

 彼女から借りた本だったりDVDだったりの感想を伝えるときとか、彼女が僕にプレゼントをくれた時とか。あと昨日みたいに僕が彼女の発表を見に行った時とか。

 元々僕はなにか作品を観る時に深く考えたり良い場面を記憶しておこうっていう意識が薄くって、彼女に詳しい感想を求められる前は昨日観た作品であってもちょっと思い出せないぞっていう部分が出てきちゃうくらいだった。

 彼女に感想を求められることに慣れてきてからは、感想を自分なりに頭のなかでまとめておくようにしたり、軽くメモしておいたりするようになった。

 自分が紹介した作品をどう受け止めたかとか、気に入ってもらえたかとかやっぱりすごく気になるよね。僕もそうだ。たくさん感想聞きたいし、どこがよかったとかなにが良かったっていう詳細をできるだけ聞きたい。でもあんまりガツガツこちらが要求したら引かれちゃうだろうってのがあるし、そもそもたいして気に入ってないという場合に感想を要求するのは酷な話だと思って遠慮してしまう。本当にすごく気に入った!っていう状態だったらなにも言わんでも感想行ってくれるだろうしね。

 きっと彼女も基本的にはそう考えているとは思うんだけど、僕に対しては遠慮せずがつがつ感想を聞いてきてくれる。僕が自発的に感想をある程度伝えると、他には?って更に感想を要求してくる。そうすると僕はもう一度考えて更に感想を引き出してくる。それを何度か繰り返す。本やDVDなんかにたいして深く考える機会にもなるし、感想を伝えると彼女がそれに対して素敵なコメントを返してくれたりするので、これが楽しい。

 彼女の多少難易度の高い要求にも僕が応えられる、と思ってもらえてるってことだと思う。ありがたい。

 昨日、彼女の発表を見届けた後家に帰ってから僕はパソコンで感想をまとめた。彼女があとで感想きかせてねって言っていたというのもあるし、詳細な感想のほうが彼女が喜んでくれるだろうと思ったのもあって、記憶が風化しないうちに、見た時の気持ちを忘れないうちにと思って急いで書いた。

 結果三十分くらい掛けて結構読み応えのある量を書くことができて、彼女はそれを読んで喜んでくれた。

 その後電話をしたんだけど、そこでも僕がまたいくつか感想を伝えてそれに対して彼女が裏話みたいなエピソードを教えてくれて、それが楽しくって結構長いことその話をしてしまって寝るのが遅くなった。

 何かの感想を彼女に伝えると会話が弾むので楽しい。

 彼女が僕に感想を求めてくれなかったらこんな風に僕が上手に感想を伝えられるようにならなかっただろうし、この楽しさを味わうこともなかっただろう。

 大した感想が出てこなくて困ることもあるけど、これらからも彼女には僕から感想を絞り出してもらいたいと思う。