かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

例え上手

 彼女は例えが上手いという話になった。

 おそらく日本語的センスが優れているのだろう。それに独特の感性があることも一因だと思う。過去にも彼女の例えが上手いと評価されたことがあるらしい。単純に例えが上手いというだけではなく、彼女にしかできない例えができるという点が優れている。

 具体的にどう上手いのか例を挙げたいんだけど、彼女の例えは相手ありきというか、相手が一番理解しやすいであろう例を出してくるので、その相手にとってはすごく良く分かるけどそれ以外の人が聞いても「?」ってなると思う。

 そうは言ってもどんな感じなのよ、って思うだろうから説明してみる。

 彼女しか知らないことを僕に伝える時に、僕と彼女が共通して知っていることに例えて教えてくれるって感じだ。例えば今日は彼女がわざわざ僕の家の方に来てくれて会ったんだけど、彼女はあまり長距離を運転することがないから僕の家までくるのがすごく遠く感じられたらしい。僕は運転が好きで長い距離走るのもそんなに苦痛ではない。だから彼女は僕にここまで来る距離走った大変さを伝えるために、具体的に僕ならどこら辺まで走ったような感覚かっていうのを挙げてくれた。その距離感が絶妙で、彼女がここまで来た疲労感というのを感じ取ることができた。彼女の2.5倍ほど移動すると彼女と同等の疲労を感じることになるらしい。

 これくらいの例えだったらって思うかもしれないけど、僕が運転好きっていう情報を加味して、自分の感覚と比較して僕を納得させる例えを提示するっていうのは結構難易度高い。

 今の話は理解しやすい部類の例えだったけど、彼女は時折奇抜な例えを出してくる。一度では理解が及ばずに、もう一度聞き直して噛み砕くとこれ以上ない秀逸な例えだ!って思うようなやつ。これは絶対彼女にしか言えないやつだって思う。もっと無難な、面白さのあまりない例えはいくらでもある。でも彼女は鋭い感覚でここしかないっていうピンポイントを狙った最高の例えを繰り出せる。

 彼女の上手さを伝えるには実際に彼女の例えを聞いてもらうほかない気がする。

 あと彼女は、例えばこれがこうなっったとするでしょ?それであれが…みたいな仮定の話も上手い。僕だったらだらだらと長いこと話して上手く伝わらない上に自分自身目的を見失うなんてことをやってしまいそうだけど、彼女は必要最低限の言葉を用いて短くわかりやすい仮定の話ができる。かかる時間にしても理解度にしても彼女の話は僕より格段に優れている。

 単語の選びとか、文章の構成とか、すごく彼女のセンスを感じる。

 わかりやすい例えってのは、時間を掛けて考えればわりと誰でもできるかもしれない。彼女は時間を掛けずにさっとわかりやすい例えを出せることに加え、オリジナリティにあふれた素敵な例えをすることができるのだ。

 日本語のセンスすばらしい。