かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

社交的な人見知り

 彼女は社交的だなあって思う。

 全く社交的ではない僕との比較になってしまうから、彼女の社交性があまり輝いて見えないかもしれないけど、ちょっとそれについて書いていこうと思う。

 彼女は地元の友達とか中学の時の先生だとか、そういう人に遭遇した時に逃げない。逃げるってなんだよ、と思うかもしれないけど、僕は逃げる。こちらが先に発見したなら見つからないように逃げる。もし逃げられない状態だったとしたら知らないふりを通す。中学、高校辺りの知り合いとはなんとなく気まずい空気が流れそうで怖いのだ。

 今の職場は彼女の地元なので、彼女の知り合いがよく来る。近所のおじいさんとか、同級生、子供の頃通っていたピアノ教室の先生。同級生のお母さんとか、同級生の妹とかもよく知っている。時折彼女が「あの人は○○くんのお母さんで、○○くんはこんな人で、お母さんはこんな人」という感じで教えてくれる。それがなかなか楽しい。

 直接面識があるないに関わらず彼女はよく知っている。自分の学年の上下何年かは一方的に顔を知っている人がたくさんいるらしい。なんだか凄い。彼女が一方的に知っているだけということらしいので、彼女の知名度自体は謎だ。特別顔が広いというわけではないと思う。

 僕は中学高校くらいの間は非常に狭い範囲の交友関係しかなくて、別の学年の人との交流とか友人のお母さんとの交流とかも殆ど無い。

 僕からしたら、小中くらいからの交友関係が今も続いているというのも凄いことだと感じる。彼女はそれほど多くないにしても繋がりがある人がいるし、どこかで会ったら挨拶して世間話ができるくらいの相手が結構いる。

 だから社交的っていうわけじゃなくて、そういう相手ときちんと交流を維持することができていることとか、顔見知りとかご近所さん程度の関係の相手とも、楽しそうに話ができる姿を見ると社交的だなあと思う。

 そんなに普段会うわけでもない、友達のお母さんとかお父さんに会った時に、にこやかに会話ができるって素敵。僕だったら話す言葉が思い浮かばなくて気まずくなっちゃいそう。

 彼女がいつものいい笑顔で、お久しぶりですなんてって言ったら、かなり好感度高いと思う。やっぱりいい子!ってなると思う。そしてちょっとした話題で会話をして、笑顔でお別れ。すごく社交的。

 短い会話の中で相手に好印象を与えられるっていうのが彼女の良い所だと思う。その部分がすごく接客業に向いているなあって思う。彼女に笑顔を向けられて悪い気なんてしないだろう。

 職場によく来るお客さんが、この間僕達がよく行くお店で働いていることを知ったんだけど、彼女が今度またこのお店に来た時にあの人がいたら、あいさつくらいはしようかな、って言っていた。その発想が社交的というか、素敵だなあと思った。僕だったら知らないふりをするだろう。

 彼女は社交的な人見知りだと思う。仲良くもない人に積極的に関わっていきたいとは思っていない。心も開かない。でも人見知りでありながら初対面の人とか付き合いの浅い人にも上手く接することができる。

 社交的な人見知りってなんだかすごくピッタリな気がする。矛盾してるんだけどそれがすごく彼女っぽい。

 たぶん周りのみんなは彼女のことを社交的だと思っているだろう。けど彼女が本当の心の中は明かさずに閉ざしていることを知っている人はいないと思う。彼女が人見知りだって言ったらみんなそんなことないって言うと思う。でも彼女は仲良くない人とはすごく距離を取る。表面上はしっかり交流出来ているけど、心の距離はかなりあいている。

 人見知りだけど社交的であろうと努力しているからこその状態なのかもしれない。彼女は人付き合いにおいてすごく頑張っているから。