かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

ぼくの誕生日

 今日は彼女と遊んだ。

 そして今日は僕の誕生日である。

 今年もまた誕生日を彼女と過ごすことができた。贅沢を言うなら前日の夜から一緒にいて日付が変わった瞬間にお誕生日おめでとうー!ってお酒を飲み交わすくらいのことはしてみたいんだけど、実現はかなり難しそうだ。僕の誕生日にってわけじゃなくて彼女の誕生日でもやりたい。

 そんな妄想は置いといて、今日を振り返っていこう。

 まず、いつものようにアラームで起きた僕は彼女に電話をかけてみた。すると切られる。これはいつものこと。なんというか僕が手動のアラームみたいな役割になっている。しばらくしても彼女からの反応がなかったので、きっとまだ眠いんだろうと思って僕も布団の中でごろごろ。30分後とかに何回か電話を掛けた。でも彼女は電話は切るものの何も反応してくれないので、今日は相当眠いに違いないと思って僕も布団の中でごろごろしていた。それでもそろそろ起きて準備しようとしていると彼女からいきなり「したくできたよ」っていう連絡が来た。起きるとか着替えるとかそういう諸々の手順をぶっ飛ばしていきなり準備万端という連絡。僕は今まさに着替えようっていうタイミングだったので急いで服を選んで来て、すぐに家を出た。

 迎えに行くと、彼女は別件で一度外出していたのだという。だから僕が何度もおきてーおきてーって電話している時には既に彼女は起きていたことになる。なんとも滑稽。

 まずケーキを食べに向かった。お誕生日と言ったらケーキである。

 道中、仕事関連の話をしていたんだけど途中、会話の中で彼女に責められたような気がして、途端に言葉が出なくなってしまった。頭のなか真っ白。彼女は別に怒っていたわけではなかったのに、僕は勝手にパニックに陥っていた。なにか喋らなければって思えば思うほどドツボにはまっていってしまう。結果気まずい沈黙が流れる原因を作ってしまった。うまくできなくてへこんだ。彼女にも嫌な思いをさせてしまって申し訳なかった。

 気を取り直してケーキを食べた。いつものおいしいところ。お店に行った時に奥でいちごタルトが出来上がったのが見えたので、時間を掛けて商品を選び、いちごタルトが店頭に並ぶのを待った。いちごタルト美味しいんだ。お昼ごはんの代わりだからケーキは二つずつ。いちごタルトといちごショート。鉄板。彼女はシフォンケーキといちごタルト。コーヒーを注文してもぐもぐ食べた。やっぱり美味しい。彼女のシフォンケーキ分けてもらって、僕のいちごショートも分けてあげて、とっても幸せだった。彼女がお誕生日おめでとうって言ってくれるのがすごく嬉しかった。

 お誕生日だから僕がいきたいところとかやりたいことを優先するって彼女は言ってくれたんだけど、僕は全然案が出せなかった。そこで困ったときのショッピングモール。かなり寒くなってきたので車に置いておくようのブランケットを探してみることにした。

 駐車場に着いたら彼女がお誕生日プレゼントをくれた。事前に、お高いものはあげられないからって言っていたので、一体何をくれるんだろう?って思っていた。けどあんまり考えすぎると自分で勝手にプレゼントのハードルを上げたり下げたりしてしまうなあと思って、昨日まではあまり考えないようにしていた。

 プレゼントは彼女が自分で綺麗にラッピングしてくれてあって、それを開けてみると本が出てきた。彼女がすごく好きだって言って、寝る前に朗読してくれた本。同じ作者の本を彼女が何冊か読んでくれたんだけど、その中でも一番好きな本だった。僕のことを考えてくれたんだなってすごく伝わって来るプレゼントで、なおかつ彼女らしさもあって、すごく良いプレゼントだった。とっても嬉しかった。たとえばこれが、マフラーとか手袋といった当り障りのない、誰にあげてもある程度は喜んでもらえることが見込まれるプレゼントだったとしたら少しがっかりしてしまったかもしれない。でもこの本は絶対に彼女しか僕にくれないし、彼女も僕にしか絶対にあげようと思わないものだ。そこにすごく価値がある。彼女との思い出が詰まったプレゼント。すごく素敵だ。

 そう思っていたんだけど、僕の反応は悪く見えたようで、彼女があげなきゃ良かったとか、別のものをあげたほうがよかったとか落ち込んでしまった。僕は他の何よりも素敵なプレゼントだったと思ったから、その気持ちを伝えられるように頑張ったんだけど、なかなかうまくできなかった。これも今日のごめんねだね。

 この本のチョイスとラッピングから、彼女の心が伝わってきて嬉しかった。読みたくなったらいつでも手に取れるように、本棚の一番良い所に飾っておこうと思う。僕が彼女にもう一回朗読してあげたい。感謝の気持ちを込めて。

 ショッピングモールを回ったけど、いまいち良いブランケットは見つからず、仕方ないので別の場所へ探しに行くことにした。雑貨屋さんに行ってみると、彼女が今日は雑貨屋さんな気分だったらしく、来てよかったと喜んでくれた。ここでも良いブランケットは見つからず、諦めようかなって僕は思っていたんだけど、彼女がもう一箇所ショッピングモールへ行ってみることを提案してくれた。

 そこへ行ったのは大正解。気に入ったブランケットを見つけられて、更に素敵なストラップを見つけてそれを彼女にプレゼントしてあげられた。どうしても彼女が今日一緒にいてくれたお礼がしたかったので、プレゼントできてよかった。すごく喜んでくれたし。

 ご飯を食べよう!ってことで今日はお誕生日だし、と奮発して牛たんを食べた。ためらうことなく豪華なやつを注文。おいしいねーって彼女と言いながらぱくぱく食べた。幸せ。時間が結構ギリギリな自覚がないままお店に入ってしまったので、食べ終えて店を出てから、もうちょっと遅かったら食べれなかったねーって言い合った。二人とも入店する時に閉店時間とかオーダーストップとか全く気にしてなかった。何食べるかだけ考えていた。

 お腹いっぱいになって、帰りに彼女が借りたいDVDがあるというのでレンタルショップへ。観たいというDVDを無事借りられて、もうあとは帰るだけになってしまった。今日は少し早めに帰りたいと彼女が言っていたので、あんまり遅くなっちゃいけないなって思っていたんだけど、僕のことを気遣ってくれたのかちょっと遅くなってもいいよって言ってくれて、そのあとしばらく一緒にゲームしたり話をしたりして過ごせた。楽しかった。

 今日は移動が多かったし、歩きまわることも多かったからきっと疲れたと思う。それでも遅い時間まで付き合ってくれて、とっても嬉しかった。

 朝からわざわざ早起きして別の用事を先に済ませ、僕が迎えに行くのを待っていてくれて、お祝いしてあげようっていう気持ちでいてくれたのに、出鼻をくじくようなことをしてしまって本当に申し訳ないことをしたと思う。反省が次に生かされず同じようなことを繰り返してしまうのも、自覚があるのに変えられないのがだめだ。今の思考パターンが良くないのは分かるので、それをどうにか変えるように努力したい。彼女に嫌な思いをさせるのが本当につらい。もっとつらいしうんざりするのは彼女なんだけどね。

 出だし失敗したけど、彼女が一緒にいてくれて、お誕生日を祝ってくれて、プレゼントもくれて、幸せな一日だった。来年も、再来年もこうやって彼女と誕生日を過ごせたらいいなと思う。

 良い日だった。