かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

事件

 今日は事件があった。ちょっとした事件というほど小さくもない、大事件というほど大きくはない、ただ僕にとってはかなりのインパクトを持った出来事だった。

 話は一ヶ月以上前に彼女に変なお客さんが絡んできたというところから始まる。その男はどうやら彼女のことが気に入ったらしく、バーベキューに誘ってきたり犬派か猫派かの話を勝手に語り出したりと仕事中の彼女に絡みまくってきたらしい。残念なことに僕はその日休みで、彼女を助けてあげることができなかったので悔しい思いをした。その日はその男をなんとかあしらったらしいのだが、その客が今日また現れたのだ。

 またもや僕は今日お休み。休憩に入った彼女から以前話をした男がまた来たという連絡が入った。仕事が何時に終わるのかとか、君のことが気になるみたいなことを言ってきたらしい。この情報だけでかなりやばい人だというのがお分かりいただけるだろう。それに対して彼女は「結婚してるんで」と言って追い払ったらしい。前回絡まれた時に対策会議を行っていたので、その時出た案を実行に移したのだ。えらい。こんな気持ち悪いやばい人相手によく頑張ったって思った。

 僕はその連絡を受けてまたもや自分が何も出来なかった無力感と、その男に対する苛立ちと、これでもう現れないだろうという安心感を抱いていた。

 その後、僕が家でまったりとご飯を食べていると彼女から電話がきた。

 先ほどの男がまた職場に現れたという緊急連絡だった。これは事件だ!って思った。もぐもぐしながら彼女の話を聞いて、すぐに職場に向かおうと決心した。職場まで20分くらい掛かるので、向かっている間にいなくなってしまう可能性は高いだろうけど、もし出会ったら文句の一つでも言ってやろうくらいの気持ちで急いでご飯を食べ終わり、家を出た。

 向かっている最中に、いなくなったようだということが判明したがとにかく彼女に会いに行って安心させてあげよう!って思った。いやもしかしたら僕が彼女の顔を見て安心したかったのかもしれない。

 職場に到着して、まず彼女に会いに行った。精神的に追い込まれてないか心配だったけど、笑顔で迎えてくれたのでひとまず安心した。また現れないとも限らないのでしばらく職場にいることにして、お仕事の邪魔にならない程度に同僚とも話をした。

 仕事のミスしてべこべこに凹んでいたY君を励ましながら、男の話を聞いたところ、挙動不審でかなりやばそうだったという話をしてくれた。Y君はメンタル弱くてだめな男だけど誠実なやつだから、それを見込んで彼に一つ頼み事をした。

 今日は仕事終わりにみんなで雑談するのをやめて早く解散できるようにしてあげてというお願い。彼女を早く帰らせてあげてという意図だ。仕事終わりを狙って男が現れるかもしれない。

 それを聞いた彼は、快諾した上で、男である俺たちが女性陣を守らないとね!って男らしさをみせてくれた。いいやつ。

 本当は仕事終わりの彼女に早く会いたくて、早めに仕事終わりの雑談を解散させて貰いたかったんだけどね!もちろん上記の理由も嘘ではない。

 彼女に会うのが三日振りくらいだったから仕事終わりにゆっくり会いたかったのだ。

 一度家に帰って、再び仕事が終わる時間に合わせてお出かけ。本当にその男が待ち伏せしていると怖いので、職場の前を通って周囲に車がないか確認した。なかった。

 いつものコンビニで待ち合わせしていたら、結構早く彼女が現れた。Y君がきちんと約束を果たして早く帰れるようにしてくれたらしい。ここでやっとおちついてゆっくり彼女に会えて、安心した。嬉しかった。

 彼女は元気そうに見えたけど、疲れていただろうし今日のことで精神的なショックを受けていたと思う。僕と会うことで少しは気が紛れたかな。紛れたといいなあ。

 彼女は可愛いし、愛想は良いし、そりゃあ魅力的だよ。それは僕が一番良くわかっている。じゃあ彼女が可愛いから変な男に絡まれるのが仕方ないかっていったらそんなこと絶対あるわけない。100%男が悪いに決まってる。許されない。この件に関して僕は本当に怒っている。彼女がかわいそうでならない。ナンパされて絡まれて、帰ったと思ったらまた現れて、それによって気持ち悪さと恐怖を感じて。彼女は悪いこと何にもしていないのに。

 今度もし現れるとしたら僕がいるときにしてもらいたい。