かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

覚えていた

 ふと誕生日のことを考えていた。

 そしたら彼女の誕生日だけちゃんと覚えているなーって事に気づいた。僕が今まで出会った中できちんと誕生日を覚えている人は彼女だけだ。僕の両親の誕生日だってあやふやで、ちょっと時間を掛けて考えれば出てくるけどすぐには答えられない。仲の良い友達とか身の回りでよく接する人とかも全くわからない。記憶にあったとしても、もおぼろげな何月生まれだったかな…くらいの記憶しかない。

 でも彼女の誕生日だけはしっかり覚えている。これだけで僕の中での彼女の重要度というのがお分かりいただけるんじゃないだろうか。

 僕は覚えるということが得意ではない。顔は見たことあるけど名前覚えてないやっていうのがすごくある。全然人名が出てこない。生活に支障をきたす、まではいかないけどかなりギリギリだと思っている。

 彼女は話の中で人名をよく出す。僕の全く面識のない人でもどんどん名前が出てくるので、彼女の話の中でどんな人かっていう情報を集めて、名前と情報を結びつける作業が必要になる。ただでさえ名前を覚えられないので、何度か登場しないとぱっと名前と情報が一致しない。前にこの話で出てきた人っていう説明をしてもらえると「あぁ!あの人か!」ってなるんだけどね。

 僕がなかなか覚えられないのを怒ることはなくて、何度もこの間のこの話の人だよみたいに教えてくれるので、非常に助かる。最近はかなり覚えてきて、彼女の話を中断させることなくきけるようになったと思う。

 彼女の話は、前に話した内容の続きだったりとか、登場人物が多かったりだとか、人名を出さないと分かりにくくなる場合が多い。友達が言ってたんだけどって言い始めちゃうとその後に何人も友達が出てくることになって混乱してしまう。

 こちらが知るはずのない人物の名前を出して話をしてくる人って彼女が初めてだったので、最初はちょっと驚いたんだけど、彼女の話を聞いているうちにそれが一番合理的だなって思った。覚えてしまえば非常にわかりやすい。

 彼女は名前を覚えるのが得意、なのかは分からないけど、少なくとも僕よりは覚えられるし、適切に引き出して来ることもできる。僕が覚えられていない名前は彼女に聞けば出てくるので安心している。頼れる。

 誕生日なんかも彼女はいろんな人のを知っているので、記憶力凄い!って思っていたら忘れないように手帳にメモしてあるんだそうだ。それも偉い。僕は手帳やカレンダーにメモしてもそれを見るのを忘れてしまうという失態を犯す。彼女もそういうことあるみたいだけどね。

 彼女はきちんと誕生日プレゼントを用意したり、誕生会を開いたりして祝ってあげるので偉いなあって思う。プレゼントを用意するにあたっての気配りとかも素晴らしい。同じ職場のAさんとBさんに価格差はあまりない方がいいが同じものをあげるのもいけないとかいろいろ考えているのを見て、わーすごく考えているんだなあって感心した。

 ちょっと話がそれたけれども、僕は彼女の誕生日をちゃんと覚えていて我ながらびっくりした。覚えよう覚えようって努力したわけでもなく自然と覚えていた。常に彼女の存在が頭のなかにあるってことだし、おそらく彼女の誕生日について去年から今年にかけてたくさん考えて悩んだから、そこで覚えたんだなーって思って、彼女の存在の大きさすげえってなったというお話でした。