かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

映画評論

 最近僕は彼女にお勧めしてもらった映画を観ることが多い。

 先日も紹介してもらった映画を観て楽しめた。

 誰かに自分の好きなものを紹介する時ってちょっと心配になるよね。楽しんでくれるかなあとか、自分はすごく面白いって思ったけどそれを押し付けちゃいけないよなあとか、観てつまらなかったって思われたらどうしようとか。がっかりさせたくないなあとか。

 彼女ももちろんそれをすごく心配する。面白いと思うけど、面白くないかもしれないみたいなことを言う。

 紹介される立場の僕は、彼女が紹介してくれるものだから観ようっていう気持ちになる。他の人が同じものを紹介してくれても今度見てみますねーくらいで済ませて観ない可能性が高い。基本的に少しでも自分が気にならないと行動する気が起きないのだ。

 彼女が紹介してくれるということは、彼女が面白いと思った作品なわけで、更に僕に紹介したいと思ってくれたわけで、それだけで僕はその作品に興味が湧く。彼女が面白いと思った作品とはどんなものなんだろうってね。

 今まで、彼女が紹介してくれたものが外れだったということがない。過度の期待を寄せているとまではいかないものの、彼女が紹介してくれているものだから他のどんな情報よりも信頼できるとは思っている。

 彼女がすごく心配しながら僕に勧めてくれたものを、僕はどんなもんだろうなあという非常に軽い好奇心みたいなもので観てみる。たぶん彼女には自分と同じように僕にその作品を気に入ってもらいたいという思いがあるんだと思う。僕だって彼女に何かを紹介するときはそんな気持ちだ。

 そんな感じで紹介してもらった作品を観てみると、やっぱり楽しい。観ている最中に、ここが彼女好きかなとか彼女はこんな気持ちで観ているんだろうなって考察しながら観れたらいいのかもしれないけど、初めて観るものだし普通に作品を楽しんでのめり込む。観終わった後に、作品を振り返って感想を練るんだけど、その段階になって彼女もこんな風に感じたかなあとかこんなこと考えたかなあなんて想像する。

 彼女に感想を伝えて楽しかったって言うと安心してくれる。気に入ったっていうと喜んでくれる。楽しくなくても言うわけじゃないよ。気にってなくて気に入ったとか言わないよ。本当に気に入ったから言っている。その結果彼女が喜んでくれるので僕は嬉しい。

 この間の映画では彼女が一番好きな登場人物を当てることができた。なんとなくそんな感じがするなあという感覚を信じたら当たった。嬉しかった。

 観終わった後に彼女と感想のやりとりをするのが楽しくて、こんな場面が好きだった、あのキャラクター好き、みたいな話をする。その中で上に書いた一番好きな登場人物は誰でしょうっていう話になったのだ。

 最近は自分が借りて観る映画も、彼女に紹介できそうなものはないかなあなんて探している。この前見つけた映画は彼女も気に入りそうだったのですぐに彼女に紹介したところ、観て気に入ってくれた。だんだん彼女の好みもわかってきたなあって感じで嬉しい。

 僕がよく見る映画のジャンルは彼女が全く観ない映画のジャンルなので、僕が好きな映画に対する彼女の感想を聴いてみたいなあって思っているんだけど難しそう。彼女の感想は見方が一方向に固まらず、想像力豊かに広い視点で作品を観ているので、非常に面白く興味深いものになる。そんな彼女が僕の好きな作品をどう評価するのか気になってしかたがないのだ。