かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

君の名前

 そういえば僕は彼女の名前が好きだ。

 彼女の名前は特別珍しいとか、難しい漢字を使っているとかではないので、よく目にする名前だと思う。だから僕にとって彼女の名前は、彼女と出会う前では特別なんとも思わない数ある名前の一つだった。嫌いか好きかで言ったら好きな名前であったことは確かだ。

 彼女の名前を知った時にもいい名前だなあって思ったのが記憶にある。彼女の見た目とか性格と、名前とがしっくりくる。彼女にピッタリの名前だなあって思う。

 彼女の名前に関してはエピソードがあるらしいんだけど、なんにせよ今の名前がついてよかったなあって思う。

 彼女を最初は苗字で呼んでいたんだけど、仲良くなって名前で呼ぼうって決めた時はなんだか凄く恥ずかしかった。さんを付けたらよそよそしいし、あだ名はあだ名で恥ずかしいしって考えた結果がなにも付けずに呼び捨てで!っていう結論だった。あまり彼女を呼び捨てで呼ぶ人がいないっていう情報も、数少ない栄誉を勝ち取ってやろうみたいな発想を僕に抱かせた。

 当初は一回呼ぶごとに赤面するみたいな感じだった。よーし呼ぶぞー!今から彼女の名前呼ぶぞー!って覚悟を決めてから呼んでた。初々しい。たぶん緊張で汗かいてた。

 それからずいぶん経って、彼女の名前を呼ぶことに抵抗感や恥ずかしさなんてもう全く感じなくなって、ごく自然に名前を呼ぶことができる。そういう部分でも彼女の存在が当たり前として定着しているんだなあって感じることができるよね。

 そうしたら僕は以前よりもだいぶ、彼女の名前が好きになっていることに気付いた。彼女と出会う前と比べたらもちろんだし、彼女と仲良くなった頃と比べても好きになっている。改めて口に出してみれば、なんとなく胸が暖かくなるような気がする。仕事をしていて彼女の名前を見かければ嬉しくなる。直筆の名前だと更にテンションが上がる。それだけならまあ分かる。彼女の名前だもの見てテンション上がるくらい分かる。でも、テレビで同じ名前の人を見つけたりとか、どこかで見かけたりするとそれでもテンション上がる。彼女と一緒の時に見つけると彼女に報告するんだけど、彼女は「ほんとだ一緒だね」くらいの反応なのに僕は明らかに彼女よりテンション上がってほらほらー!って言ってる。

 僕の好きな人の名前があるってことで嬉しくなる。別に僕の好きな彼女を指す名前ではないのにね。

 漫画なんかで、好きな人の名前をノートに書いてうふふってしちゃうような場面を見た気がするけど、その気持よくわかる。

 彼女のことが大好きなんだから、そりゃあ名前も大好きだよね。

 彼女の名前を見て、ああ好きだなあって感じた夏の日。