かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

恥じらい

 彼女はたまに僕の日記を目の前で音読し始める。日記は彼女に向けて書いた、いわば手紙のようなものなので音読されるとめちゃくちゃ恥ずかしい。耳をふさぎたくなる。

 今日はこのブログをいきなり音読し始めた。でもこのブログは一応第三者に向けて書いたものだから音読されてもあんまり恥ずかしくない。むしろ音読してもらって客観的に自分の書いた文章を聞けて、なかなか楽しかった。

 意外と文章上手くね?なんて調子に乗り始めた僕を見て、彼女はおもむろに日記を取り出した。そして適当なページを開いて読み上げ始める。

 しかも今日は感情を込めて、まるで映画の冒頭の語り部分みたいな雰囲気を出して読み上げてくれた。読むのがすごく上手いので非常にそれっぽくて、それに関しては素直に感心してすごいすごい!って思ったんだけど、やっぱり日記を読み上げられるのは恥ずかしい。

 中学時代の黒歴史を掘り返された時に感じる恥ずかしさの軽量版みたいな、ぞわぞわした感覚が襲ってきてうわあああってなる。

 彼女はそんな風に悶えている僕を見て楽しんでいるようだ。良い趣味をしていらっしゃる。仮に日記を読み上げて彼女が可愛く恥じらってくれるのであれば、僕だってがんがん音読したくなるだろう。

 あー彼女を恥ずかしがらせてみたい。彼女ってあんまり恥ずかしがらない。もしかしたら恥ずかしがっているときがあるかもしれないんだけど、それを感じさせない。精神的な動揺があんまりない。頬を赤らめて恥ずかしがる彼女を見てみたいなあ。きっと絶対確実に可愛い。

 恥ずかしがらないっていうのもそうなんだけど、彼女は緊張というものと無縁らしい。それだけ聞くと強靭なメンタルを持った人みたいなんだけど、そんなことはないんだよね。強い部分と、弱い部分がちゃんとあって、それが彼女の魅力になっていると思う。

 恥ずかしがらせたい。恥ずかしがってくれないかなあ。照れて欲しい。なんとかならんか。誰か妙案をください。

 昔に比べると、恥ずかしいという状況に慣れてきて、その点において僕は少しだけ成長したような気がする。恥ずかしいからやらないって選択を極力しないようにって心がけるようにしている。上手くできなそうだからやらないとか、恥ずかしいからやらないとか、そういう理由で逃げる人を彼女が好きじゃないからね。

 彼女が僕の日記を読み上げるのは恥ずかしくて仕方がないけれど、やって欲しくないわけではないし、彼女が楽しんでいると僕も楽しくなる。読み上げてくれるってことは少なくとも内容にネガティブな印象は持ってないってことでもあるしね!

 このままいくと僕は恥ずかしさに対する耐性をどんどんつけていきそうだ。