かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

朗読と睡眠

 寝る前に電話で話す習慣は今も続いていて、これができない日は大事な何かが欠けてしまったように思える。

 何ヶ月か前から、彼女から借りた本を僕が朗読するという、寝る前の日課ができて電話で話す中にそれが組み込まれている。

 借りた本を読むという目的と、彼女に読み聞かせるという目的の2つを同時にこなせるので僕は非常にこれが気に入っている。

 加えて彼女も最近、本を読んで聴かせてくれる。彼女の声で物語が進んでいくのは非常に心地よい。本の内容が楽しいというのもあるけど、彼女が読んでくれるという状態がとても良いものである。

 僕が本を読み出すとほんの数ページで彼女が寝息をたてはじめる。いつしか本を読み聞かせるという目的に彼女を寝かしつけるという目的が加わった。

 ひと通り会話が終わったら、よーしねるぞってなって本を読み始めるのだ。

 早い時は前回までのあらすじを僕が適当にまとめて語っているときに寝ちゃう。可愛い。

 どこまで読んだか覚えてるー?って聞くと、僕が前日に読み始めた場所だったりする。寝ちゃって全然覚えてない彼女可愛い。

 彼女が寝てしまって内容を全く覚えていなくても、読み始めてすぐ寝てしまっても僕は嫌な気分にならない。何度も同じ所を彼女のために読むことがさほど苦痛ではないのだ。さすがに4,5回目となるとつらくなってくるのでそういう時は内容をまとめて先へ進むけどね。

 本を読んでいる僕の声で彼女が眠ってくれているって思うとすごく幸せ。彼女の役にも立ってるなあって感じがする。

 彼女が眠れない時、寝ていたのに目が覚めちゃった時、本を読んでいてあげれば彼女が眠れるっていう安心感。眠れないっていう困った状況をどうにかする方法を持っているっていうことが嬉しい。

 僕の声に安らぎを感じて眠れるのか、ちょっとノイズがあったほうが眠れるっていうやつなのか、彼女がすんなり眠れる理由はよく分からないけど、僕の存在が彼女の役に立っていれば嬉しい。

 眠っていたのに目を覚ましてしまって、ちょっと意識がふんわりしている彼女に、目が覚めちゃった?って声を掛けて、本読んどくからねって言うと、うんって嬉しそうな返事が返ってくるのが可愛くてたまらない。喜んでくれてるんだなあって幸せを噛み締めながら僕は日々本を読んでいる。

 こういう日課があるとすごくいいなあって思う。

 毎日毎日僕の声が彼女の耳に届いて、眠ってくれている。この幸せがずっと続いていったらいいな。