かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

こしいたい

 今日僕は腰が痛くて痛くて、泣きたいくらい痛くて、でも仕事だから頑張って働かなきゃと思っていた。今日は彼女と入れ替わりで働く日だったから、僕が働き始めると彼女が帰るっていう感じだった。

 腰が痛すぎてつらくてテンションも上がらないまま働き始めた僕は、彼女が帰る時に少しだけ会話をするのを心待ちにしていた。彼女に心配してもらいたかったり、慰めて欲しかったわけではなく、いや正直に言えばそういう風にしてもらいたくはあったんだけどそれがメインというわけではなく、この陰鬱な気分を彼女と会話することで払拭したかったのだ。

 ということで僕は働きながら彼女が帰るのを待っていたんだけど、彼女はなかなか姿を見せない。どうやら同様に仕事が終わった人と話をしていたみたいだった。気がついたら彼女が帰っていたなんてことにならないように、僕はそわそわしてキョロキョロと辺りを見回して彼女の姿を探していた。

 しばらくして彼女が現れたので、作業をしながら彼女と話をしようと思ったんだけど、思った以上に自分のテンションが低すぎて積極的に話し掛けられなかった。少しだけ言葉を交わして、もうちょっと話そうって思っていたところに、今度は彼女のご友人が現れた。久しぶりの再開だったらしく話が盛り上がっていたので、僕は仕事に戻った。

 それからまたしばらくして話を終えた彼女が、帰るねって言いに来てくれたので軽く別れを告げて僕はまた仕事をしていた。もっと話をしたかったし、腰が痛くてつらいよーって甘えたかったりもしたんだけど、変な意地を張ってしまっていた。

 僕が作業をしながらウロウロしていると、彼女が先ほどのご友人とまた話をしているのが見えて、彼女がまだ帰ってなかったんだと気付いた。今やっている仕事に区切りがついたら、もう一度彼女に会いに行こうって思った。変な意地張ってないでもうちょっと話したかったって甘えてみようって思ったのだ。

 ささっと仕事を終わらせて、先ほど彼女がいたところに向かうと姿は既になかった。外をみると駐車場にいる彼女を見つけた。さすがに外まで行くわけにはいかない。彼女ともう一度話したかったなあって思いを胸にしまって頑張って働こうと思った。

 でも憂鬱だししんどいし、誰にも甘えられないし、この気持ちをどんな言葉でTwitterに投稿しようかとか考えていた。気分は最高にすぐれなかった。

 そうしたらなんと、彼女が再び目の前に現れた。ふわっと彼女のにおいがして、僕は嬉しくなった。心がすごく落ち着いた。忘れ物をしたという名目で会いに来てくれたのだった。帰ったと見せかけて会いに来てくれたらいいなあ、でもそんなことあるわけないって思っていた僕にとって最高のプレゼントだった。

 すごいなって思った。もし彼女が会いに来てくれなかったら、僕は本当に最悪な気分のまま残りの仕事をこなすことになって、もしかしたら何かミスをしたかもしれないし、やけになって腰痛を悪化させていたかもしれない。確実に良い方向には向かわない状態だった。

 でも彼女は最悪の状態を防いでくれた。ここがダメだったら僕は本当にどうしようもなくなるっていう状態のギリギリのところで彼女は僕を助けてくれる。それがすごいなって思うのだ。まるでそこが見えているかのように、図っているかのようなタイミングで助けてくれる。

 きっと彼女は僕だけじゃなくて、周囲に気を配ってこんな感じでみんなを助けているんだろうなあって思った。

 彼女にもう一度会えて、嬉しくて元気が出て、腰がいたいのはもちろん変わらずではあったけれど確実に彼女のお陰でその後の仕事を頑張れた。

 あぁやっぱり彼女は天使。