かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

かわいそうな彼女

 今日彼女は仕事を頑張った。彼女が一番大変だったし一番頑張った。

 何度も何度も同じ所を往復してバタバタとせわしなく動き回らなくてはいけない彼女がかわいそうだった。体力的にも精神的にもものすごく大変だったと思う。

 今日はただでさえいつもより忙しい日だったから、あれやこれや仕事があってそれをこなすだけでも大変だったのに、加えて人為的な要素によって更に彼女の忙しさは増した。途中あまりに彼女がかわいそうだったので何回か彼女のフォローに入ったものの、それだけでは彼女の苦労をほんのちょっとだけ軽くしたに過ぎず、仕事が終わりに近付くに連れてどんどん彼女は弱っていった。

 今日彼女が頑張ったことは僕の主観から見ても揺るぎない事実だし、職場全体を見た時の客観的な視点からでも絶対的に評価されるべき仕事っぷりだった。彼女が不在だったら絶対に仕事を終わらせることができなかっし、彼女の代わりに別の誰かがいたとしても仕事を終わらせることはできなかっただろう。彼女がいてくれたからこそ今日をなんとか乗り切ることができた。

 今日は忙しかった。僕もそう感じていたし、彼女だってそう感じていたはずだ。なんていっても手を抜くことなくずっと職場中を動き回っていたのだから。

 それなのに仕事が終わったあと、Y君が「今日思ってたより楽だったっすね」みたいなことを言いやがった。

 今日分担されていた仕事は、Y君の頑張りによって彼女への負担が増減して、彼女の頑張りによって僕の負担が増減するというような関係性を持っていた。

 かわいそうなことに、Y君の頑張り不足によって彼女への負担が増していた。彼のせいで彼女は必要以上に職場を走り回ることになっていたのだから。その自覚がないうえに、頑張ってヘトヘトになって、もうだめって感じの彼女に対して楽だったなんて絶対に言っていい言葉ではない。彼の一言によって彼女の頑張りが報われないものになってしまった。こんなことを言われてしまった彼女がかわいそうでかわいそうで。なんてことを言ってくれたんだと思った。彼女が頑張ったことはもう何度も言っているように間違いなく認められることだからね。

 僕が忙しさの割りに自分のペースで仕事が出来たのは彼女が頑張ってくれていたからで、Y君からもたらされる負担を彼女が全部受け止めて、それを僕の方まで影響させなかったということが彼女の頑張りを証明している。彼女のお陰で僕は思ったように仕事を進めて無事終わらせることができたし、疲労感でいっぱいになることもなく済んだ。全て彼女のおかげだ。

 そうだよ、負担を僕の方まで影響させなかっただけでなく、僕の仕事も請け負ってくれていたんだから、彼女は本当に今日一番頑張って一番疲れたはずだ。僕だけじゃなくてみんなが彼女に感謝しないといけない。

 とにかく今日は彼女ばかりが頑張ることになってしまってかわいそうだった。頑張らないとどうしようもないような状況に追い込まれて無理させられてかわいそうだったと言ったほうがいいかな。

 今日はおつかれさま。とっても頑張ったね。