一種のコミュニケーション

　僕はマッサージするのが好き。肩もみとか足もみとか。小さい頃からお父さんやお母さんにマッサージをすることが多かった。

　喜んでもらえるし、楽になったって感謝してもらえるし、マッサージってとても良いなっていう認識があった。しかも結構人ってマッサージを欲している。肩がこるだとか、首が重たいとか、足がだるいとか。それを僕がなんとかしてあげられるなんて素敵な話だ。

　というわけで、彼女が腰が痛いとか足がだるいって言う時にマッサージしてあげようっていう発想に至るのはごく自然な流れだった。

　特別マッサージが上手いってことはないだろうけど、マッサージをするのが好きだし、それを好きな彼女にしてあげられるんだからまるで僕にとってはご褒美みたいなものだ。

　彼女の反応も良い。毎回感謝してくれるし、楽になったって言ってくれる。それだけでもっとしてあげたいって思うし、マッサージで腕が疲れたなんてのも吹き飛ぶ。

　彼女は下半身に疲れが溜まりやすいみたい。マッサージをすると足が張ってる感じがする。腰の痛みも常にあるみたい。最近は肩とか背中もこっているようで、ほぼ全身辛いっていう状態になっている。

　なんとかしてあげたい！僕がマッサージして楽にしてあげたい！って思う。

　ちょいちょい空いた時間に肩を揉んであげたり背中を押してあげたりしているんだけど、ここ数日はいつになく肩が固くてびっくりした。マッサージをすると、彼女がどれくらい辛いのかとかどれくらい頑張っているのかなんとなくではあるけど伝わってくる。肩がカチコチなのも、足が張っているのも、彼女が頑張っていたりストレスによって肩に力が入っていたりする証拠なのだ。それが最近深刻なくらいこってるから、きっと彼女は相当しんどいんだろうなっていうのが分かる。

　僕はそれを感じながら、彼女の苦痛を和らげるにはどうすればいいか考える。こんな風に揉めばいいかなーとか、この場所をほぐせばこっちも楽になるかなあみたいな。あと自分がつらいなーって思う場所とか揉んで気持ちいなーって思う場所が彼女と共通しているから、やりやすさがすごくある。

　コリをほぐすっていうのが一番の目標だけど、マッサージして気持ち良いって思ってもらうことがストレス解消とか心地よさに繋がるんじゃないかなーって思って頑張っている。

　これも一種のコミュニケーションだと思う。

　彼女の役に立てるのが嬉しいし、彼女が喜んで感謝してくれるとすごく幸せ。