かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

既知と未知

 今日は彼女が趣味で活動しているサークルの発表の日だった。

 イメージしやすいように具体例を出しておくと、彼女が写真を撮るのが趣味でサークルに所属していて、日々撮りためた写真を発表する展覧会が今日行われた、というような感じ。実際は違うけどそんな感じでイメージしてもらえるといいかもしれない。

 まあとにかくそんな発表会みたいなものが今日あって、僕はそれに行ってきた。

 彼女が趣味の活動をしていることはずっと前から知っていたし、僕自身それに興味はあったものの、こういう場がなかなか無かったので、直接彼女の活動に触れることができないままだった。

 昨日から今日の朝にかけて、わくわくした気持ちと同時に、僕の知らない彼女を見ることになるという不安感が僕を支配していた。会場にいる彼女はいつもと同じなのか、それとも全く違う顔を見せてくれるのか、未知の体験をすることになるかもしれないという恐怖があった。僕が勝手に僕の知らない彼女というのを作り上げてビビっているだけな気もするけど、とにかく僕は不安と期待の入り混じった落ち着かない気持ちだった。

 開場時間になり、僕は彼女の作品、彼女が仲間と作り上げた作品を見た。

 今まで彼女が悩んだり、苛立ったり、苦しんだりしながら作り上げてきたものがこれだったのか、と初めて分かった。彼女がやりたいこと、彼女が好きなこと、それを僕は言葉として知っていたし、それに傾ける情熱というのをそばにいて感じていた。でもその思いがどんな形になるのか知らなかった。今日それを見ることができて、僕は素直に感動した。

 彼女が休む余裕がなくて疲労でいっぱいでも頑張って、上手くいかないこととか辛いこととかあっても頑張って、そうして彼女が真剣に全力で取り組むもの、彼女がそこまでする価値を感じているものをやっと見ることができた。すごく嬉しかった。

 彼女を見た時、僕はなぜかちょっとうるっとした。このために頑張ってきたんだなーって思ったら、卒業式で我が子の成長を感じて泣く親みたいな心境になったのかもしれない。正直なところここでうるっとした理由はは自分でもよく分からない。あ、でもポジティブな理由でうるっとしたことは間違いない。

 彼女はいきいきとして輝いて見えて、綺麗だった。素敵だった。いつもと少しだけ違って見えたけれど、僕が知らない彼女ではなく、僕が知っている彼女だった。僕の大好きな彼女がこんなに素敵な作品を作り上げていると思うと誇らしくも思った。

 来てよかったなあと思った。楽しめたし、彼女の好きなことをこの目でしっかりと見て知ることができた。多分、他に来場した人たちよりもかなり多くのものを得ることができたんじゃないかと思う。

 大満足。