かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

失敗と反省と失敗

 彼女と遊んだ。僕が些細な事でイライラしてしまって、うまくそれを彼女に伝えられなくて色々あった結果、大惨事になってもう手遅れかと思うくらい深刻な状況に陥った。あの時の絶望感は今思い出してもずーんと気分が沈むくらいの重さだった。

 なんとか気を取り直して、彼女のご要望だったケーキを食べに行った。誕生日に食べに行ったケーキ屋さん。僕も彼女もたいそう気に入ったので、また来たくて来たくてたまらなかったのだ。いろいろあった関係で、思っていた時間よりも遅くなってしまい、ケーキが売り切れてたら困るなあと思っていたんだけど、たくさんあって安心した。ケーキを選んでいるとだんだん楽しい気分になってきて、選び終えて席に座った時には僕のメンタルはだいぶ回復してきていた。でもずっと先ほどのことが頭をぐるぐる回っていて、彼女とここに来れてよかったなあと安心する一方で自分のダメさを反省していた。彼女はというと、もうこの頃にはいつもの彼女で、といっても全くいつもと同じ何のわだかまりもない状態かといえば違ったのかもしれないけど、とにかく僕は楽しくケーキを食べられたし、彼女も楽しんでくれていたと思う。一時は向かうことを断念しかけたけど来てよかったなあと思った。ケーキを食べて、ミルクティーを飲む彼女を見ているとさっきまでの状態が嘘のように、穏やかで幸せな気分になった。マグカップがすごく似合うんだよね。持ち方とか飲み方とかすごく可愛い。彼女は小物が似合う。マグカップを持てばしっくり来て似合うなあって思うし、帽子とかネックレスとかそういうアクセサリーのような小物も似合う。マグカップが彼女のスカートの色と合っていて、それも素敵だった。

 夜に彼女の友人宅にパソコン設定の用事でお邪魔することになっていたので、おみやげにクッキーでも買っていこうという話になってそこで売られているクッキーをいくつか選んでラッピングしてもらった。ここでも僕はやらかした。彼女の思っているのとは別のことを、彼女の意向を無視する形で押し進めてしまった。結果彼女をがっかりさせてしまうという失敗。ちょっと回復していた僕のメンタルはしおれた花のようにぐにゃっと曲がった。残念がっているのは彼女なんだから自分がへこんでたらだめなのにね。ここまでの僕は本当に何をやっても失敗みたいな感じでだめでだめでどうしようもなかった。

 それから時間つぶしのついでに、彼女の友人の誕生日を祝うために必要なアイテムを探しに近くのショッピングモールへ。誕生日の時と同じルート。二回目だと、この間気付かなかったポスターやら看板やらに気付いて楽しい。服を見て、この間可愛い犬を見つけたペットショップを見て、雑貨屋さんへ行って。これだ!っていう目的にぴったりのアイテムは見つからなかったものの、ぐるぐるとお店を見て回るのはすごく楽しい。好みが全く違ったら楽しくないんだろうけど、彼女がいいなーっていう服は僕もいいなって思うものだったり、彼女が着たら似合うんだろうなって思うものだったりするので楽しいし、雑貨も彼女が興味を持つものを観察するのとか、一緒にいいねー!っていうのが楽しい。中には僕はそれ苦手だなあとか、あんまりいいと思えないなっていうものもあるんだけど、それよりも圧倒的に良いなって思うもののほうが多くて、意見の交換とか共感が楽しいから、やっぱり好みが近いことって大事だなって思う。

 そして本日二つ目の目的だった、雑貨屋さんに向かった。以前行った時に、いずれプレゼントすることになる品物に目星を付けておいて、ついに今日それを買うときがきたのだ!って感じ。無事目的の物を買えてきれいにラッピングもしてもらって、大満足だった。僕の買い物じゃなかったけど、彼女が買い物出来て満足そうだと嬉しい。

 その後ちょろちょろっと寄り道をして時間を潰した後、約束していた彼女の友人宅へ向かった。彼女も彼女の友人もパソコンに対する知識がほぼ無い上に機械に嫌われ体質ということで、僕がお役に立てるならばというような感じでお邪魔することになった。もともと依頼されていた内容に関しては問題なく解決したんだけど、マウスが電池交換したら使えなくなったという追加ミッションがあって、それがすごく難しい問題だった。僕はパソコン好きだしよく使うけど、知識が豊富ってわけじゃない、と自分では思っている。そんな素人に毛が生えたレベルの僕がいろんな可能性を考えて潰していった結果、電池交換の際に何かしらの理由で壊れてしまったんじゃないかという結論に至った。ただ、問題に直面した時に、壊れたという結論が最も安易で無責任であると思っているので、僕はその結論がすごく嫌だった。でも僕はその結論を伝えるしかなかった。彼女の友人にはもちろん、彼女にも申し訳ない気持ちになった。せっかく僕に期待して紹介してくれたのにあんまり応えられなかった。彼女は当初の依頼をきちんとこなしたんだからって励ましてくれて、マウスも壊れていると言い切れないのであれば、壊れていないとも言い切れないので、それはもう壊れているということでいいじゃないかと言ってくれた。思えばここでもまた僕は彼女に励ましてもらって、ラッピングの件でへこんだ時も励ましてもらって、気を使わせてばっかりだ。それに彼女は僕がしっかり依頼をこなせたから褒めてくれた。嬉しかった。

 彼女の友人でなければここまでしようとは思わなかっただろうなあって思う。ここまで責任も感じなかっただろう。彼女が大切に思っている友人だから、僕もできる限りのことをしたいと思うし彼女が大切だと思っている気持ちを理解して、僕も大切だと思いたいなって思う。うまく考えが文章にできているか不安。

 それから僕たちはご飯を食べに行って、今日も美味しくパスタを食べた。彼女は今日を振り返って、出だしは最悪だったけどよくここまで盛り返したねと評してくれた。たしかにその通りだなあと思った。楽しかったって言ってくれたし、僕も楽しめたし、あの空気感からこんな終わりになるなんて想像もつかなかった。彼女が楽しめたっていうことがすごく大事だし嬉しい。

 僕はずっと反省していて今日の失敗が頭をぐるぐると回っていて、いろいろ考えているうちに、どうしていつも自分はこうなんだろうって思って悲しくなっていた。彼女のことを一生懸命考えてやっているつもりが、うまくいかなくて失敗して嫌な思いをさせてしまう自分が不甲斐なくて、同時にそんな思いをさせたいわけじゃないのに悲しませてしまうことが申し訳なくて、僕は帰り道で泣いてしまった。ださい。いろんな思考が混ざり合って自分でもなんで泣いているのかよく分からないんだけど、ただ悲しくて彼女にごめんねって思って、こんなだめな自分でごめんねみたいな面倒くさいネガティブスパイラルに陥ってしまっていた。

 そんな面倒くさい僕を彼女は優しく励ましてくれて、僕の気持ちを受け止めてくれて、それから元気付けてくれた。彼女の優しさが嬉しくて、もやもやしたものを吐き出せて、すっきりしてちょっと元気が出た。一人で悩んで落ち込んで急に泣きだしてぐずぐず言いだすとか最高に面倒くさいね。

 今日は失敗ばっかりで反省するべきことが多くて自分が嫌になったけど、彼女はそれでも楽しかったって言ってくれたし、僕のことを褒めてくれたし、そうやって僕の良い所に目を向けてくれるのが分かるからすごく嬉しい。僕の勝手な頑張りも彼女はきちんと受け止めて分かってくれるって思えるから、また頑張れる。

 やっぱり僕にとって彼女は全てを費やしてもいいと思える大切な人だ。この思いは揺るぎない。