かばのにおい

「彼女」について綴るための場所。非常に私的な内容となりますのでご了承ください。

おみやげ

 彼女が昨日、日帰り旅行に行った。前にも話題に出した仲良しな二人と一緒に。朝早く起きて出掛ける彼女をスマホの画面から見送り、僕もちょうど休日だったので僕は僕で休日を満喫していた。たまに彼女が連絡をくれて、僕もそれに返事をしていたんだけど、そのなかでおみやげを買ったよっていう報告をしてくれた。前日おみやげ買ってきてよっていう話をしていたのだ。僕がそんなことを言い出さなくても彼女は買ってきてくれるつもりだったようで、そのつもりだよって言ってくれていた。

 僕は彼女を見送って、楽しく過ごしてこれるといいなあ、良い旅行になるといいなあって彼女のことばかり気にしていて、前日にせがんだおみやげのことは全く忘れていたので、早々におみやげ買ったよっていう報告を貰って嬉しくなった。きちんと彼女が僕のことを考えてくれていたんだなって喜んだ。

 旅行の話を聞いたところ、雪が降るくらい寒くて大変だったみたいだけど、楽しめたようでなによりだった。

 そして今日、彼女がきっとおみやげをくれるだろうとわくわくして仕事へ向かった。彼女とは仕事が入れ替わりになっていて一緒に仕事はできなかったけど、仕事を終えた後会う予定になっていた。

 仕事中はテンションが上がらなかったものの、仕事が終わりに近づくにつれて彼女に会うことを考えて元気が出てきた。

 仕事を終えて彼女に会いに行くと、すでに彼女は待ってくれていた。

 ちょっと話をしたあと、彼女がカバンから袋を取り出して僕に渡してくれた。それを開けると中からクリーム色をしたものが出てきて、最初僕はそれが何なのか分からなかった。僕が一番最初に見たのが背面で、クルッと回してみるとそれは羊の形をしたカスタネットだと分かった。なにをくれるのかなーってわくわくしていたんだけど、そのわくわくを裏切らないどころかそこから更に斜め上に突き抜けるくらい素敵なおみやげだった。ひつじの形がよくて、色もきれいで見た目がすごく可愛いんだけど、カスタネットという選択がすごく彼女らしいなって思った。僕へのおみやげとしてカスタネットを選んでくれるのは友人知人の中できっと彼女だけだろう。ひつじの形をした置物ではなくて、カスタネット。彼女がこれを見つけて、いいなって思って、僕にあげたいって思ってくれたこと、あげたら喜んでくれるかなって思ってわくわくしていただろうことを想像すると、嬉しいしとても彼女が愛おしかった。カスタネットをうんたんうんたんしながら喜びに浸っていたら、彼女がもう一つ紙袋を出してきた。なんとおみやげは一つではなかったのだ。もう僕は袋の中身を見る前から、二つも用意しておいてくれたのかって感動して嬉しくてたまらなかった。そして中身を見てびっくりした。ものすごく可愛い、僕のツボをこれでもかと抑えたような見た目のうさぎがいた。うさぎの形のマグネット。木でできている。ひと目で気に入った。しかもなんとこれは彼女とお揃いらしい。素敵情報だ。僕はもうこの二つのプレゼントで嬉しくて嬉しくて、それをどう表現したらいいのか分からないくらいだった。しかたがないのでその表現できない思いをカスタネットでリズムを刻んで発散した。

 彼女がおみやげをくれることが嬉しい。そしてそのおみやげが素敵なもので嬉しい。

 家に帰ってさっそくいつも見える位置にひつじとうさぎを飾っておいた。彼女とお揃いのうさぎがこちらを見つめている。

 彼女が僕のためにこれを買ってきてくれたんだって思うと嬉しくて幸せでたまらない。

 ありがとう。